〽 十五で姐やは 嫁に行き お里のたよりも 絶えはてた である。
この歌、この歳まで細かなことは気にせず歌ってきたが、つい最近、伊藤千尋著『心の歌よ!』を読んで、「へえ~、そういうことだったんだ」と初めて知ったことがある。
三木露風少年5歳のとき、母は父と離婚し、顔を合わせれば取りすがるだろうからと、最後のひとことも交わすことなく家を出ていき、釘付けされた玄関で途方に暮れているところを祖母が迎えに来た。
そして少年は姐やと呼ばれる子守の娘に育てられ、家制度の厳しい時代、露風にあてて手紙を出すこともできなかった母は姐やにあてて手紙を書き、姐やはそれを露風少年に伝えていたという。お里のたよりとはそういうものであった。知らなかった。
姐やも半ば労働力の売り買いのようにお嫁に行ったかもしれない。そんなことを想像すると、幼児向けの童謡というよりも、『赤とんぼ』は叙情歌の代表曲と誉めても言い過ぎではないような気がする。
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