2020年11月11日水曜日

広域行政一元化は違法

  元大阪府副知事の小西禎一氏のFBが正鵠を射ていると思われるので、記録のためにも紹介しておきたい。

 ■ 維新が進めようとしている「広域行政一元化」は住民投票で示された「政令指定都市大阪市の存続」に反することは明らかです。また、条例によって市の権限を府に移譲することは地方自治法に規定がなくできないことであるばかりか、そもそも地方分権改革にも逆行するものです。また一部新聞で報道された「事務委託制度」の活用についても、2000億円にものぼる事務の委託は同制度が想定していないものであり、政令指定都市を一般市並みに格下げする「広域行政一元化」のための事務委託は政令指定都市制度を定めた地方自治法や政令指定都市の廃止に住民投票を要件とした特別区設置法の趣旨をないがしろにする違法なものです。こんな馬鹿げたことを大阪で許してなりません。詳しくは下記をご覧ください。

 ■ 維新の悪あがきー広域行政一元化論を批判する ■

 ■ 維新松井市長、吉村知事は住民投票の結果、二重行政の解消も民意だとして「広域行政の一元化」を進めると表明した。しかし住民投票で示された民意は「政令指定都市大阪市の存続」であり、そのことを棚上げしてもらっては困る。住民投票で示された民意を前提として今後の市政、府政の運営を行うのが市長、知事の責務だと私は思うが、彼らはそれより維新の旗印の方が大切らしい。そこで彼らが進めようとする「広域行政の一元化」がいかに荒唐無稽で民意に背くものかを明らかにしたい。

 1 「広域行政化一元化」という名の大阪市格下げは示された民意に反する

 住民投票で示された民意は「政令指定都市大阪市の存続」であり、二重行政解消のためとされた大阪市廃止解体は否決された。松井市長が究極の民主主義としてコロナ禍の下強行された住民投票で大阪市民は悩んだ末結論を出した。「広域行政一元化」は政令指定都市に与えられた都道府県の権限をすべて奪い去るものであり大阪市を一般市並みに格下げするもので民意に反することは明らかである。

 2 条例で市の権限を府に移譲することはできない

 地方自治法は「都道府県は、都道府県知事の権限に属する事務の一部を、条例で定めることにより、市町村が処理することができる。」(252条の172)と規定している。いわゆる事務処理特例条例で、大阪府においても市町村への権限移譲を進める手法として活用されている。しかし、逆に市町村の事務を都道府県に移譲することは規定されていない。そもそも「事務処理特例条例」の規程が置かれた趣旨は、「法令による事務配分の制度と併せて、地域の主体的な判断に基づき、市町村の規模能力等に応じ地域において事務配分を定めることを可能とする制度を創設することにより、住民に身近な行政は、できる限りより住民に身近な地方公共団体である市町村が担任できるようにすることにある。」(松本逐条1164P)とされている。地方分権改革が目指すのは都道府県から市町村への権限移譲であって、市から府への権限移譲は地方分権改革に反するものであり、条例による「広域行政一元化」を行うことはできないと考えるべきである。

 3 「事務委託」による「広域行政一元化」は違法

 市の事務の一部を府に委ねる方法としては「事務委託」という手法が考えられる。これは「普通地方公共団体は、協議により規約を定め、普通地方公共団体の事務の一部を、他の地方公共団体に委託して、当該普通地方公共団体の長又は同種の委員会若しくは委員をして管理し及び執行させることができる。」(地方自治法252条の14)というもので、事務の共同処理方式の一つとして規定されている。現在大阪府内で行われているのは市町村間の事務委託であり、市町村から府への事務委託はない。また、現在活用されているのは、市町村境界付近で児童・生徒の就学事務や上下水道の事務など隣接の市町村から提供してもらった方が効率的な事務や消防事務など町村が自ら装備するより近隣の市に委託した方が効率的だと考えられる場合などであり、「広域行政一元化」のように2000億円にものぼる事務を委託することはそもそも想定していないと考えられる。また、法律によって市町村のみが処理できるとされている事務を都道府県に委託できるかどうかについて、「都道府県には住民基本台帳の作成に関する事務や戸籍に関する事務を処理する体制はなく、かつ、管理執行の職員をあらたに置かない限りできないのであるから、かかる事務は委託にふさわしくないものと言わざるを得ない。」(松本逐条1149P)と考えられており、この観点からは消防や水道の事務は事務委託制度を使って府に委託することはできないと考えるべきである。また、「広域行政一元化」は政令指定都市を一般市並みの市に格下げするものであり、政令指定都市制度を定めた地方自治法や政令指定都市の廃止について住民投票による賛成多数を要件とした特別区設置法の趣旨をないがしろにするものであり、そのような事務委託は違法と言わざるを得ない。■

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