2020年11月13日金曜日

融通念仏雑感

   テレビで「やまと尼寺精進日記」という楽しい番組があった。時々再放送もあるようだ。その舞台の奈良県桜井市の尼寺は融通念仏宗のお寺である。全国的にはややマイナーな宗派だが、大和(奈良)や河内(大阪)では珍しくなく、これらの地域限定ではなかなかメジャーな宗派である。

   融通念仏とは、平安後期に声明(しょうみょう:お経の節)をまとめ上げた良忍によって唱えられた教えだが、私の全く個人の感想を言えば、その割には私の接したことのある融通念仏宗の読経にはそれほどの節(曲)=声明が感じられなかったのでかねがね不思議に思っていた。(あくまでも全く個人の感想です)

 そんな折、五来重(1908-1993)の本の中に「一遍の時宗の踊り念仏の中で”融通念仏なむあみだぶつ”と唱えられた」というのを見つけ、少し一遍関係の本などを読んだところ、良忍の声明の方は主にこちら(時宗)の方に引き継がれているように感じた。(写真は空也念仏踊り)

 現代社会は便利なもので、You Tube などで「踊り念仏」「念仏踊り」と検索すると幾つかのそれが出てきた。そして私は感覚的なものだが、日本の芸能の原点は伎楽から田楽、お能というよりも、良忍のまとめ上げた声明から田楽、お能、また祭文から浪曲、盆踊りに繋がっているように肌で感じた。遊行僧や山伏との接点も大きい。盆踊りも「歌垣起源説」もあるが主要な線は踊り念仏に相違ない。それに歌舞伎のルーツの阿国歌舞伎のルーツのひとつも念仏踊りと言われているように、折口信夫も「平安末期以降に成立した芸能で踊躍念仏の影響を受けていないものを見つけるのは困難である」と述べている。

 融通念仏の融通は”一人一人が皆と一緒に”ということらしく、称名念仏のゴスペルめいた”合唱”を重視しているようなので、五来重が先の本で「融通念仏は”うたごえ運動”」と例えていることなどが妙に納得された。

1 件のコメント:

  1.  五来重氏が「融通念仏はうたごえ運動」と例えられたというのに私は少しばかり目から鱗でした。門外漢の勝手なつぶやきですが、お寺さんも音楽療法などを考えられたら如何でしょうか。

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