2020年11月23日月曜日

サコ学長の日本論

   政府のクールジャパン政策に従って「ニッポンすごい!」「ニッポン人すごい!」というようなテレビ番組が多くて、それに類する番組名を見ているだけで恥ずかしくて嫌になる。

 ただNHK BSの、その名も「クールジャパン」は、政府のクールジャパン政策以前からある老舗番組で、鴻上尚史氏が司会ということもあり、上品な感じで好もしい。何よりも私は日本文化の自虐論者でもなければ、欧米崇拝主義者でもない。

 さて、「まさかそんな程度のものではないだろうな」と思いつつ読んだ『サコ学長、日本を語る』(ウスビ・サコ著・朝日新聞出版)は、期待に外れず、否、期待以上に読みごたえがあった。

 現代日本社会の分析、批評として日本人の学者や文化人の作品と並べても第一級の著作だと思う。ワクワクしながら読み進んだし、読み終えてからも満腹感が残った。

 教育や若者についての章の小見出しをあげてみると、「学校に期待しすぎる日本人」「平等を履き違える日本人」「能力を生かせない日本人」「すぐにあきらめる日本人」「若者を自殺に追い込む日本」という具合だ。

 その後の章は、「大学よ、意志を持て」「コロナの時代をどう生きるか」と進む。

 ニッポンすごい! というようなお世辞はなく、それでも日本が好きなアフリカ出身のサコ氏の暖かくも鋭い現代社会論。多くの場面で肯いたりプッと吹き出したりして楽しく読んだ。

1 件のコメント:

  1. 近頃はブログ記事をフェイスブックに転載するのを止めています。フェイスブックは貴重な情報源ですが会話が薄い気がします。ブログのコメントで会話する方が私にはあっています。

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