2019年5月30日木曜日

勘違い

 関西のテレビやラジオにもよく出ている編集者で著述家の江 弘毅氏の文に「目から鱗」のことがあった。
   大阪のミナミがなぜ外国人、とりわけ中国人旅行客に人気なのかということで、氏が1980年代に来日し神戸の大学を出て大阪と上海を行き来しているビジネスマン、そして90年代から大阪で中国人客のインバウンド向けネット情報発信会社を経営する社長、この2人に話を聞いたことがそれだった。

 一昔前の日本の常識だと、地方の若者は東京にあこがれ、ディズニーランドに行きたがっていた。そして今では、大阪にもUSJが出来たし、グランフロント大阪もハルカスもできた。
 だからてっきり、中国の中産階級も日本にあこがれ大阪にあこがれてやってきたと思っているとしたら、それは大きな勘違いらしい。

 つまり、中国の大都市はここ20年で一気に近代化され、高層ビルに入った巨大ショッピングモールやグルメパークなどが増え、そういう大規模商業施設に慣れてしまった中国人客は、とりわけ大都市上海で生まれ育った50代以上の世代にとっては、大阪ミナミのごちゃごちゃした街場がとても懐かしいとやってくるのだという。

 井の中で「ウチらは先進国やからな」などと勘違いしているミナミを、中国東部では昔あったような古い鄙として中国人客は楽しんでいるという。
 
 なるほど、大きなビルにはグルメ街があり多くの店が入っているが、やはり昔ながらのミナミや曽根崎に足の向く私としてはその感情がよく解る。
 奈良がミナミみたいになるのは賛成しがたいが、奈良県知事が脱法行為の上に高級ホテルを建てようというのが全くトンチンカンなことだけは確かなようだ。

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