近鉄大阪線に俊徳道(しゅんとくみち)という駅がある。駅名は駅の横を通る街道・俊徳道に依る。
街道・俊徳道は、河内国・高安に住んでいた俊徳丸が、高安から四天王寺へ通った道といわれ、沿道の広範囲に亘り『俊徳』と冠される施設・旧跡などが点在する。
その俊徳丸だが、能、説教節、文楽、歌舞伎、河内音頭、そして落語に登場する主人公だが、早い話が物語上の人物である。それが実際の街道の名前にまでなっているには大阪の宗教性があると、著者の釈 撤宗(しゃくてっしゅう)は説く。
『落語に花咲く仏教--宗教と芸能は共振する』(朝日選書)は非常に読みごたえのある本である。
「伝統芸能はなんらかの宗教性をもっている。少なくともその芸能の源流をたどれば、宗教儀礼や宗教思想と無縁であることはない。五来 重(ごらいしげる)が指摘するように、芸能について考察する場合、芸能史や民俗学などのアプローチだけでは不十分である」と書いてあるのだが、なかなか、散楽、猿楽、田楽あたりから落語に至る第一級の芸能史になっている。
このブログに書いたこともあるが、私は説教節もデロレン祭文も見聞した。俊徳丸であげた芸能だけでなく、講談、浪曲、江州音頭等々もこの範疇に含まれる。
仏教を知れば伝統芸能が何倍も楽しくなるし、能のそれ等は仏教を抜きにしては理解さえできない演目も多い。
この本は購入して損はない。
昨日、能を観に行きました。「忠度」(ただのり)と「船弁慶」狂言が「腹不立」(はらたてず)でした。船弁慶は一人の演者が静御前が義経との別れの悲しみの舞と平友盛の亡霊の怒りの舞を、舞い分ける処、亡霊が長刀を振り回して襲い掛かるのを弁慶が数珠を鳴らし「東方降三世、南方軍茶利夜叉、西方大威徳、北方金剛夜叉明王、中央大聖不動王の索にかけて祈り祈られ悪霊次第に遠ざかれば・・・」の処、眠化が覚めました。
返信削除スノウさん、楽しいコメントありがとうございました。私は門外漢ゆえコメント返しもできぬ俄坊主ですみません。
返信削除上方落語「菜刀(ながたん)息子」は能の「弱法師」を元に拵えた噺で、2005年に亡くなった桂吉朝さんが最期の舞台で語った噺です。病身を押してつとめた鬼気迫る舞台だったと云われています。
返信削除スノウさん、五大王は伍大力さんの事ですよね、能の正式な舞台はまだ見たことが無いのですが多分私は眠ってしまいそうです。
スノウさんもひげ親父さんも伝統芸能に造詣が深く、コメントでブログ記事を多いに深めていただいています。ありがとうございます。「菜刀息子」は「弱法師」という演目でされることもあります。みんな俊徳丸ですね。
返信削除西国33所の上醍醐寺に登り伍大力に参拝し醍醐水を汲んで帰った頃は私も元気でした。能では弱法師の俊徳丸は天王寺の西門から見る落日に日想観を感じ拝む案内役でしたね。コメント訂正・平友盛は知盛。不動王は不動明王です。
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