新聞を読んで、映画「マルサの女」が頭をよぎった。
山崎努扮する権藤が「正直に税金を払えば会社がつぶれる」というのに宮本信子の査察官板倉亮子は「査察が入ってつぶれた会社はないよ」と言った。
労働基準行政や労働保険料の行政の現場では、これに似たやりとりが数えきれないほどあった。
さて、その新聞だが、13日朝日朝刊のトップ記事は日本郵政グループの「同一労働同一賃金」策だった。
社員の約半数が非正規雇用で、その差別の解消を求める要求や行政指導に対して、それならと正社員側の住居手当を廃止し、「はい同一になったでしょう」というのだ。
これは権藤でさえ真っ青になるぐらいの「脱法行為」である。立法主旨に基づけば非正規雇用の労働条件の改善こそが日本経済の喫緊の課題であることは明らかだ。
早速ABCテレビの「おはよう朝日です」で、司会の岩本計介らが「ヨーロッパでは産業別労使協定で同一賃金は相当確保されている」「日本でいえば吉本でも松竹芸能でもほかのプロダクションでも同じに・・」と振った後、「それはええなあ」と答えた芸人の亜生(アキ)に対して、「これ(日本郵政の策)はどこのプロダクションの芸人も(低賃金で有名な)吉本に合わせようということや」と話し、亜生「ええ~っ」と大笑いになった。
安倍政権与党だけでなく、経済界のモラルも相当タガがはずれている。
そういえば、倒れた市長を救命処置するために土俵に登った女性に「土俵から降りてください」とアナウンスした相撲協会は、その後開き直って、従来から行われていた「ちびっ子相撲」の女子の参加を静岡市の春巡業から断わった。
「女子のけがが目立つと保護者から意見があった」という頓珍漢な説明は、先の「若い行司だったので」という釈明や、文科省に前川氏の公開授業で圧力をかけた池田佳隆自民党文科部会長代理の「地元から懸念の意見があったので」という理由同様、責任はすべて他人にと責任逃れをする卑怯千万なものだ。
相撲協会のその対応には、伝統と改革の議論以前の、人間としての誠実さが欠けていないか。
冷静に議論しませんか。表彰式にあまたの部外者が土俵に上がるのに女性はお断りというのに道理はあるだろうか。勇気をもって議論しませんか。
「魚は頭から腐る」という西洋のことわざがあるが、この国は頭を洗い直して消毒しなければどうしようもない。
〽 人は哀しい 哀しいものですね などと口ずさみたくなる春の宵である。
14日は、〽 ちぬの浦風~という校歌の同窓会。
楽しい同窓会にしたいと思うが、いつものように大すべりするかもしれない。
結果はしょうがないが努力するのみと、前夜チヌ(黒鯛)の塩焼きを食べて自分自身にカツを入れた。
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