2017年7月26日水曜日

熊蝉は目覚まし時計

朝からうるさいクマゼミ
   クマゼミは朝に鳴き、アブラゼミは午後に鳴く、もちろんヒグラシは日暮れに鳴くからヒグラシ。 
 一般に虫が鳴くのは求愛の為だろうから、種類ごとに「担当時間」を決めて効率化を図ったのだろうか。あるいは求愛には好ましいムードが必要だからと、種類ごとに好きな環境が異なっている故なのだろうか。
 虫のこと、生物の進化のことはほとんどが後付けの理論で、正直なところ解らないことばかりだ。

 それに比べると人間のことは古人のことであっても、虫よりは想像がしやすい。
 古代中国では遺体の口にヒスイや玉製の蝉が含まれている(含蝉)が、魂が戻ってくるための肉体の保存を空蝉に重ねて願ったのであろう。
 また、地上に顔を出した際には既に蝉の形をしていて、そして羽化をするそれは、エジプトのスカラベではないが復活と再生のシンボルだったに違いない。

   写真は私の帽子につけている安物のストラップの一部であるが、原型は、国宝・東大寺金堂鎮壇具のうちの銀製蟬形鏁子(さす)・奈良時代(8世紀)で、鏁子(さす)とは、錠の一部分のこと。箱の蓋と身に宝相華文の座金を取り付け、蝉の形をした錠でつなぐ。蝉の目の間にある鍵穴に、鍵を差し込み開閉する。銀製の錠は非常に珍しい

 鎮壇具の意匠なのだから、蝉がどれほど古人にとって好ましい存在であったのかが想像できる。

 来年はこの帽子をかぶって孫の凜ちゃんと一緒に蝉捕りに行きたいと思っている。
 朝からクマゼミが「早く蝉捕りに来てくれよ」と鳴いている。
 その小さな体でどれだけ大きな声を出したら気が済むのかとあきれる。
 あれぐらい孫が元気になってくれたらと願っている。

    通学の集合場所の蝉の声 (夏休み前に)

1 件のコメント:

  1.  古代エジプト、ユダヤ教、キリスト教、イスラム教には明確な「復活」の思想があり、そのためには遺体を保存しておかなければならないという強い意思が生じた。
     古代中国のミイラや含蝉も同じ死生観だと思われる。
     ところで、日本の古墳や石棺を同じ思想と見るかどうかはどうだろう。いわゆる陵墓が発掘されていないので不明な点は多いが、含蝉は今のところ見つかっていないようだ。
     復活のために遺体を保存するというよりは、祟らないように遺体を封じ込めたのかもしれない。古墳では、子孫が年季法要をした痕もない。含蝉から想像は広がる。
     

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