2017年4月30日日曜日

北朝鮮のミサイル

 ブラックジョークに「首相は危機を煽っておいて自分だけ逃げたんではないか」というのがある。安倍首相も、岸田外相も、薗浦副外相も27日には文字どおりの外遊に出かけた。その29日午前5時半ごろ、北朝鮮がミサイルを発射した。おいおいおい、これでもこの内閣の情報力、判断力を信じなさい!と言うの?

 だから政府は21日に、「弾道ミサイル落下時の行動について」をHPに掲載し、「警報が出たら、頑丈な建物や地下街に避難するか物陰に隠れて地面に伏せるよう」ご指導されている・・との反論もあるだろう。
 事実、和道さんのブログによると和道さんの自治体は広報誌にその内容のチラシが挟まれて配付されたらしい。やっぱり、これで日本国民は安心だ。

 ただ、私も日本国民だが、どういうわけか今朝「その警報」は教えてもらえなかった。
 数分後に爆発して失敗したらしいが、東京メトロは6時7分から10分間、運転を見合わせたらしい。時系列でみると、北朝鮮のミサイルはセスナ機並みのスピードなのだろうか。
 また、「地下鉄は止めるが原発は止めない」という政府は「平和ボケ」ではないのでしょうね。本心は危機意識に煽られた国民が「口先番長」の勇ましい戦前回帰を支持してくれればそれでいい・・・と?

 私の知る限り「ノドン」の落下速度は秒速2000~3000メートルといわれているが、仮に30キロ先でキャッチし「警報」システムが起動されアナウンスがされたとして、アナウンスが終わったおよそ15秒後にはすでに着弾している。どこかのCMではないが「もっと早く言ってよ~」。

 いろいろ皮肉を言ってみたが、だからこそ日本は平和なのかもしれない。国民に対して「平和ボケ」とお叱りの大臣(おとど)が率先してこの時期に「外遊」なのだから。そして、留守居役が「すべての選択肢がある」などと粋がって「反撃」しなかったのがいい。

 1994年にクリントン大統領が「先制攻撃」を計画したとき、ラック在韓米軍司令官は「米兵8万~10万人を含め韓日米国民が100万人犠牲になる」と想定した。金泳三大統領が「米国は戦争騒ぎのためにわが国土を使うことはできない。私は韓国兵を一兵たりとも動員しない」と強く抗議してこれは中止されたが、想定される犠牲の規模に「原発の存在」を加味すれば、それが破滅的な世界を招くことは明らかだ。米大陸を除く北、韓、日は必ずそうなる。

 先日、韓国語が堪能で幾度も韓国を旅行された先輩の「板門店訪問記」を聞いた。自然に話は「ポプラの木」に移った。
 そもそも「ポプラ事件」とは、1976年に板門店の共同警備区域内に植えられていたポプラ並木の剪定を国連軍が実行したところ、北朝鮮軍将兵が作業の中止を求め、国連軍側は部下に作業継続を命じ、為に再度の作業中止勧告を出した後北朝鮮軍が実力行使に及び、奪い取った斧によって米兵2名が殺害された事件である。

 3日後、国連軍は100名を超える武装した兵士でポプラ並木を伐採し、20機のヘリ、7機の攻撃用ヘリ、F4、F5、B52が飛行し、F111が待機した。沖合には空母ミッドウェイが待機。非武装地帯の外側には陸軍部隊が待機した。この折りは北朝鮮軍が反撃しなかったので武力衝突、全面戦争は回避された。

 このように、板門店は軍事境界線、停戦ラインでしかないことを忘れてはならないから、宣戦布告のような戦争が始まるよりも、「予想外」の行き違いから悲劇は始まるだろう。だから、「いかなる選択肢も辞さない」というような脅しで挑発するのは危険である。
 28日国連でティラーソン国務長官は「ソウル、東京への核攻撃の脅威は現実だ」と述べたが、日本では根拠のない楽観論と野次馬的な脅威論ばかりが目立つ。理性的な議論がもっと出てこないものか。

 先輩の話の中で、ソウルなどは大阪のミナミのように中国人観光客がいっぱいだったのが、今は中国政府の「渡航禁止」で静かだというのがあったが、こういうことこそ危険な情勢の真の姿を現しているのかもしれない。発端は米韓の迎撃ミサイルTHAADの配備計画に中国が反発したものだが、中国人のいない韓国はそれだけ危険ではないだろうか。

 安倍首相は国内では勇ましい言葉を吐くが全く中身のない内弁慶である。
 この時期プーチンに会うなら、「6か国協議に北朝鮮を引っ張り出しなさい」「北朝鮮が国連決議違反の核とミサイル開発を行う限り経済制裁をしなさい」と明確に言うべきだ。さらには、「無法な北朝鮮を援助するなら日本のロシア経済援助はできない」とも。
 プーチンやトランプの前に出るとお追従に終始し、国内には「先制攻撃も辞さず」とはどういうことだ。

   川柳 吟行も探鳥会も違法です

2 件のコメント:

  1.  ミサイル発射で日本は、地下鉄や新幹線の運行を一時ストップさせたが韓国のマスコミは、日本の対応を「大袈裟だ」と報じ、橋下前大阪市長はソウルレポートと称して「ソウルの普通の市民は北朝鮮の核保有など全く脅威に感じておらず」「ソウルの普通の市民が一番恐れているのはトランプ氏による攻撃だ、北朝鮮の反撃で韓国がミサイル攻撃を受ける事だ」と連日ツイートしている。
     安倍政権が北朝鮮の脅威を最大限煽り、利用して新安保法制を発動させアメリカ艦船の護衛任務を命じたという。橋下のツイート全体は鵜呑みには出来ないがある意味安倍政権を狙いを言い当てているように思う。

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  2.  一番現実的な危険は、ポプラ事件ではないが予期せぬいざこざからのエスカレートでしょう。
     エスカレートの危険は、トランプの挑発如何でしょう。
     トランプと安倍は究極のポピュリストですからその非常識な可能性はあるでしょう。
     トランプと安倍の背後には、巨大な軍事産業が控えています。安倍のバックボーンは戦前回帰を渇望する日本会議です。
     なので、かつてなく危険だと私は思います。このことはしっかりと押さえておくべきだと考えています。
     同時に、安倍はフェークニュースも含め異常な危機の宣伝で世論を誘導しています。本当に異常です。このことも強く批判しなければなりません。
     北朝鮮の核開発やミサイル開発を厳しく批判しつつ、以上の2つの局面を理性的に批判しないと、本当のトランプ・安倍政治を暴くことにはならないと思っているのです。

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