29日に奈良で桂福車の落語を聞いた。
演目は「エンマの願い」で、副題のようなものは「過労死防止落語」。
過労自殺した亡者の話に赤鬼、青鬼、果ては閻魔大王までが心を痛める。
ところで、母一人子一人で母親にこれ以上の苦労はさせたくないと、文字どおり必死に働いてきた青年にはどこか後悔がないようなセリフが続く。
そこで閻魔はライブカメラのように娑婆を映す浄玻璃の鏡(じょうはりのかがみ)を青年に見せると、わが子を失って見違えるように痩せ衰えた母親が・・・。
で、自死をたしなめると同時に、企業の論理の歪みを指摘して労働法を教える閻魔大王。
そこかしこにギャグを含めながら、「自らの権利を放棄するものは他人の権利も侵害する」と言うのを知っとるか!とするお説教もお見事。
あとは実際に見て聴いていただきたい。
今回の主催者は「働くもののいのちと健康を守る奈良県センター」。
秋の11月には「過労死防止シンポジウム」も予定されている。
KAROSIは今やインターナショナルな国際語になったが、それは不名誉なことである。
当初は国連でも、日本の過労死家族等の代表団が何を言っているのか解らなかったようだ。言葉のことでなくそれがあまりに常識の枠外のことだったから。
そもそも、しっかり働こうという精神は尊いが、命以上の仕事はない。
大事なことは、そういう日本が、なんと労働者一人当たりの労働生産性が先進国中最下位になっている事実である。
このように、安倍政権が後押しする日本財界の労務方針は完全に破たんしている。個々の労働者も大変だし日本経済も衰退の一途だ。こんなことを見過ごしていてよいのだろうか。
安倍政権の先が見えてきた今日こそ、こんな政治を抜本的に変えようと本気で声を上げることを閻魔大王は願っていらっしゃる。
沈丁の溢れる大気の独り占め
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