ようやく近所のシネコンに来たので映画「この世界の片隅に」を観た。
このごろの劇場映画というと、実写といってもCGなどをふんだんに取り入れてまるでゲームのように爆発や爆殺などが目白押しで食傷気味だったが、このアニメ作品はそんな「実写」よりも自然で非常になめらかな映画だった。
いくつかのヒットしたジプリの作品よりも気持ちの負担を感じなかった。
お涙頂戴だったら嫌だなとか講義のようだったら嫌だなと思いながら行ってみたのだが、予想外にあっさりすぎるほどあっさりが私には心地よかった。
広島や長崎で原爆の被害を直接被った人々には「きれいすぎる」「あっさりしすぎている」と怒られないかと心配するが、戦争を知らない子どもたち二世にはその先の歴史に思いをはせてもらいたいものだ。
ネットの批評では「テンポが早すぎる」「判らない言葉もある」とあったが、私自身はそうではなかった。
しかし、モガ、もんぺ、隣保館、工廠、挺身隊、英霊、スフが判らないといわれると、それもそうだろうと頷かざるを得ない。去る者日々に疎しなのだろう。
この映画を観て反戦のプロパガンダだ、お説教だと感じたならその眼は何かに歪められている。素直に一昔前のこの国を理解してほしい。
戦後72年、若い方々にはとりあえず鑑賞してからそれぞれの親や祖父母の人生に思いをはせるのがよいと思う。
キネマ旬報2016年ベストテンの第一位に賞されたというのは日本映画人の卓見だろう。
落ち着いた映画の外の冬晴れや
あまり社会批評を期待して観に行こうと思わない方が良い。NHK朝ドラだけが平和主義・・という川柳があったように、あの戦時下の不条理は各種朝ドラの方が100倍以上告発している。
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