2015年10月27日火曜日

二重行政論の初歩的誤り

 東大阪市に世界的シェアを誇る航空機の部品メーカーの(株)アオキという会社があるが、3.11後、NASAが別の地域に第2工場を造るように言ってきたという話を聞いた。
 事実あの時は東北の部品メーカーが被災したため東北以外の日本の各社自動車メーカーまでその生産が軒並みストップした。
 つまりNASAが求めてきたものは「外的な衝撃に、ぽきっと折れてしまわず、しなやかに立ち直る強さ」のあるシステムだといえる。それは「レジリエンス」と呼ばれている。
 この「時代の要請」でもあるレジリエンスについて国連等国際社会では真剣に検討されているのに、なぜか日本はひとり取り残されている。

  例えば、レジリエンスの先駆的な研究者であるブライアン・ウォーカー氏は「レジリエンスのある世界の機関や制度は、ガバナンス構造に『重複』がある」と解説し、「トップダウン型のガバナンス構造は、短期的には効率がよいかもしれないが、状況や環境が突如変わったときにはうまくいかない」と指摘している。
 だから維新政治が全く世界の趨勢に取り残されていることは明白だ。
 大阪市が政令指定都市だからといってもこれは同じで、府県立の病院と市立の病院があるから二重だとか府県立の学校と市立の学校があるから二重だというのはあまりに皮相な議論である。

 それよりも、明日来てもおかしくないといわれる東海、東南海大地震に維新政治はほとんど何もしてこなかったし、134億円のポンコツWTCビルで地震・津波対策をするとは悪い冗談以下だろう。
 「二重行政だ」「無駄を削る」は一見耳触りがいいかもしれないが、府民・市民の安全安心を投げ捨て、積み上げてきた公共財を利権屋に売り払おうというものでしかない。
 大阪府があって大阪市がある。それでいい。先を見ている者はNASAだってレジリエンスを考えている。

5 件のコメント:

  1. 「赤字だから」という理由で公共交通である大阪市営地下鉄・市バスを民営化するという橋下市長の言い分が真っ赤なウソであることはすでに明らかになっている。市バスの赤字を地下鉄の黒字が補って余りある優良経営なのだ。これを民間(すでに交通局に入り込んでいる京阪や他の私鉄各社)に売り払う事は関西財界との約束事である。さらに私鉄各社が喉から手が出るほど欲しがっているのが大阪市交通局が所有する不動産だと云われている。大阪府民も含めた市民の「交通権」の問題としてとらえる必要がある。

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  2.  郵政民営化のときも「かんぽの宿」等を規制改革会議メンバーのオリックス等がしゃぶりつくしました。
     「自治体は企業ではない」という、こんな当然の主張を声を大にして言い続けなければならないように思います。

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  3. ところが、橋下市長などは大阪副首都構想を唱えているので、ある意味でレジリエンスの立場なのです。見ているところが違うんですね。

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  4.  橋下維新の副首都構想は中身のない誇大広告で、本気でレジリエンスを考えたものではありません。
     東京が大地震にみまわれた時WTCで代替するなど悪い冗談でしょう。

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  5. たまたま市長候補の吉村氏の最近のツイートを見たら副首都構想を述べていました。本気かどうかは別にして、向こうも大宣伝していきているので、そういう悪い冗談の矛盾をついていく必要があると思います。

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