2015年10月9日金曜日

そこは掌(たなごころ)

  先日の国連総会後にニューヨークで記者会見した安倍首相と日本のメディアが、いま国際的に話題になっている。
 当然と言ってしまっていいのかどうか、当事者である日本の主要メディアはそれを報じていない。
 「それ」とは、「シリアの難民問題で支持を表明したが、なぜ難民を受け入れないのか?」とロイターの記者が首相に質問すると、安倍首相の顔が強張り、日本人記者全員がざわついたという・・そのことである。
 質問の内容のことではない。(それも大事なことなのだが)、写真のペーパーのとおり、そもそも想定問答集をはるかに超えた役者も台詞も完璧な出来レースが写真のとおり作られており、・・ということは「それ以外の質問は受け付けない」シナリオであったことである。だから想定外の質問に首相は強張り日本人記者はざわついた。
 主に先進国のジャーナリストの間では、こんな日本のメディアの姿勢を「記者倫理に違反する」「国際的基準に反する」と批判が高まり話題になっているそうだ。早い話が日本のそれは独裁国家並である。

 私は同時に、「マスコミなんてそんなものだ」というこの国の意識の広まりこそが怖ろしいと思う。
 テレビの歴史秘話ヒストリアで、日中戦争のために東京オリンピックが中止になったことを討論していたが、その中で「当時は戦争よりも国際親善というような意見は誰も言えなかった」「新聞、雑誌(子供向けも含む)、ラジオ、ニュース映画が全て『中国を懲らしめろ』『いけいけどんどん』だった」との発言があったが、「いつの時代の話だろうか(今とそっくりでは)」と妻と頷きあった。
 だから、私たちは、そんな作為的な情報の大洪水の中に居るという自覚が必要で、そうでなければ「お釈迦様の掌の上で世界を知った」かのようにしか思えなかった孫悟空と変わらない。
 このため、あえて言えば、共産党を支持するしないにかかわらず、少なくとも真実の情報を得たいと思うなら、『しんぶん赤旗』を購読して権力と癒着していない情報源を手元に置くことが大切だと強く思っている。

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