遠い遠い記憶がよみがえってきた。
高校の文化祭で、演劇部の演じていた舞台、眞山美保作『泥かぶら』。
その感動もあってか、生徒会で新制作座の公演を取り組み大成功させたこと。
青臭い想い出の数々。
そんなものだから働くようになってから、勤労者演劇協議会(労演)に入って、毎月新劇の舞台を観に行っていた。
その頃の気分を、この本は思い出させてくれた。
市原悦子の対談集『やまんば』、A5版変形×約500頁、正直なところ読み切るのに少々疲れた。
それに、舞台はやはり東京で、時代はアングラ等が台頭し、この本で初めて多くの芸術家が時代と格闘していたことが解ったが、うすぼんやりとではあるが、ああ、あの時代にそういう人々がいたよなあ・・という、アバウトではあるが同時代性を感じさせた本である。
対談者は、
恩地日出夫、映画監督
岩上廣志、教育者、僧侶
中村美代子、女優
林光、作曲家
田中悳、音響効果家
中田実紀雄、プロデューサー
佐藤園子、演出家
駒澤琛道、写真家、僧侶
越智武彦、テレビプロデューサー
大下晴義、プロデューサー
堀貞雄、プロデューサー
西川芳男、カメラマン
大嶋敦子、スタイリスト
川岸みさこ、スタイリスト
早坂暁、小説家、脚本家
三木敏悟、作曲・編曲家、指揮者
ミッキー吉野、音楽家
火口秀幸、タップダンサー
沢柳則明、マネージメントプロデューサー
柴英三郎、脚本家
塙淳一、テレビプロデューサー
赤司学文、プロデューサー
坂本登美、ヘアメイク
鶴巻日出雄、監督
東原三郎、撮影
石原武龍、シナリオライター
ジャン・ミネオ、演出振付家、ダンサー
鵜山仁、演出家
小野武彦、俳優
種倉保夫、舞台監督
畑崎広和、舞台監督
麿赤児、舞踏家、俳優、演出家、「大駱駝艦」主宰
鐘下辰男、劇作家、演出家、「演劇集団THE・ガジラ」主宰
小林勝也、俳優
塩野谷正幸、俳優
若松武史、俳優
堀川とんこう、演出家、映画監督
出目昌伸、映画監督
構木久子、スクリプター
沢部ひとみ、ノンフィクション・ライター
竹山洋、脚本家
村田喜代子、小説家
石澤秀二、演劇評論家、演出家
そして話の中の登場人物は数えきれない。
要は、私がリアルなあまりにリアルな職業人生を送ってきたころ、こんな芸術や表現等について格闘していた人々がいたということ。
纏めようもない余韻の残る本だった。
市原 わたしは山姥が一番合っているってみなさんに言われるんだけど、好きなんですよね。山姥っていうのはね、障害を持って生まれた人とか、日本にたどりついた異国の人とか、それから伝染病を持った人とか、口減らしのために山に捨てられた人とか、とにかく不幸な人が山に入って、木の実を食べて生きなきゃならない。そのうちに肌は苔のようになって、髪もぼうぼうになって生きていて、一番痛みを知っているのが山姥なんですね、私の解釈では。
0 件のコメント:
コメントを投稿