2012年5月24日木曜日

にんまり紅李酒

   紅スモモというと私は浄瑠璃寺の参道を思い浮かべ、その花も葉も実も美しかった思い出に曳かれて庭に植え、ご近所からも「いいですねえ」などと言われてきたものの、その代わり、毎年毎年毛虫との格闘また格闘で、そしてついにはギブアップして、泣く泣く抜いてしまったという曰く因縁のある思い出の樹木である。
 それが、今は、近所の歩道上の街路樹で、正に「ただの街路樹」であるので複雑な気分でいる。

 晩春から初夏には綺麗な実をたわわにつけるのだが、誰も振り向きもせず落果するままというのも、良くも悪くもこれがニュータウンなのだろうか。
 それはあまりに可哀相なことなので、昨年、自治体の農薬散布が無いのを確かめて、摘まんできて「紅李酒」(べにすもも酒)を漬けてみた。

 そして、ほぼ1年。 ・・・香りと味は梅酒そっくり、実を齧ってみるとこれは青梅の方に軍配が上がるが、色は格段に紅スモモが美しい。
 外泊の義母が「美味しい 美味しい」と呑みすぎて酔っ払ってしまった。

 今年も未だ実は小さいが街路樹が賑やかになりつつある。写真のとおり「スモモも桃も桃のうち」というが、紅スモモはそんなことは無く、はっきりと自己主張をしている。

 この冬は、有毒の楝の実を食べたという失敗もしたが、まあ、この紅李酒は成功例である。

 こういう風に見てみると、 季節は理屈抜きでめぐり巡り1年が経過した。
 木々の下の芝生にも去年同様「芝の?花」が咲いた(これは庭石菖)。
 生来怠け者の私だがブログのおかげで1年前が鮮やかによみがえる。

 そういえば、1年前はそういう季節の変化を実母や入所している人たちに教えてあげなければという使命感で、五感をビンビンに張って季節や自然を眺めていた。そしてそれは、ある種日々の生きがいだったのだなあと、後で気がつく何とやらである。
 しかし、介護のど真ん中はそんな気分には心底からは思えなかった。人間は悔やむ動物なのだろうか。
(写真は何れも5月16日撮影)

0 件のコメント:

コメントを投稿