2012年1月5日木曜日

初詣は難しい

   「歳をとると・・」などと言うと年寄りみたいだが、歳をとると超有名神社の混雑は勘弁願いたい。
 と言って、あまりに静かなのはお正月にしては寂しすぎるから、ほどほどの賑わいの初詣先を考えるのは難しい。
 今年、子供たちが帰ってしまってから夫婦で詣ってきたのは、そう遠くない当尾(とうのう)の山里の浄瑠璃寺。
 平安時代創建の名刹で、国宝や重文に指定されているからどうのこうのと言うのではなく、九体阿弥陀仏や矜羯羅(こんがら)童子等、気持ちの爽やかになる仏像が迎えてくれるお寺である。

 そして、秘仏・吉祥天女像と併せて三重塔内の薬師如来も特別開扉されていた。
 特に吉祥天女は、五穀豊穣、天下泰平、豊かな暮らしと平和を授ける幸福の女神で、南都では正月に祈願の法要をするお寺が多いそうだ。

パンフレット
 この「豊かな暮らしと平和」の文字がパンフにあるのは・・「なるほど」・・で、当寺の住職であり西大寺の宗務長である佐伯快勝師は、「宗教者九条の会」の呼びかけ人の一人で、その熱心な護憲の行動力には頭が下がるお方である。

 さて、浄瑠璃寺門前には、駐車場の向こう側に「〇〇茶店で土産物を買ったり食事をしてくれる方には無料サービス」の駐車スペースがある。
 いつも利用しているし今日も「うどんでも食べようか」と言って出かけたのだが、茶店はのんびりしたもので、金儲けよりも一家団欒なのだろうか正月休みだった。
 結果として無料で駐車したことになるから、吉祥天女と同じように茶店に向って手を合わせて帰ってきた。

追伸 『今年度中に携帯電話の契約回線数が人口数を上回るという。
ネット社会という情報の洪水の中で 
からだで体験する機会はどんどん減る。
自分の感覚、感性はどうなっていくのだろう。
情報を一定拒絶する断食行(だんじきぎょう)が要るのでは―――。
ご自愛のほど願います。
平成二十四壬辰元旦 快勝』と、師は述べておられる。

6 件のコメント:

  1. 新年早々、不快なモノを見てしまい(何処かの組合委員長が何処かの独裁市長に卑屈な態度で)スノーさんのごとく、一切のメディアを遮断するべきか悩みますが、焦らず、諦めず、進むためにも、情報の取捨選択の的確な基準を持ち続けたいものです。

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  2. !ひげ親父さん 今年もよろしくお願いします。
     確かにうんざりする情報に付き合うのは精神衛生上も良くありませんね。
     ですから、多くの良心的な人々は既に「情報を一定拒絶する断食行」をされておられるように感じています。
     しかし、ここが難しいところですが、現下の情報化社会をリアルに分析すれば、心ある人々が世間の歪みを鼻でわらっている隙に、衆愚社会は日々「進歩、増殖」していくのではないでしょうか。
     貴兄のおっしゃる「取捨選択」が大事だと思われます。

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  3. 皆さん、今年も宜しくおつき合い下さい。
    去年の暮れ、ふとした縁で臨済禅の解説を見聞しました。
    その中に「Back to the basics」もとに返れ!シンプルな暮らしに帰れ!という言葉があり出家者のみならず在家の我々も必要とのことでした。勿論反対に「積極的に世間と共に活動しろそんな消極的ではどうする!」との意見もあるけれどああ言えば、こう言うで「とりもちと理屈は何処にでもひっつく」の譬え通り反論は聞き流します。悟り「正解」は自分一人一人が実践と経験で創って行くんだこれが修行というものです。また、坊主の世界では世間が「金を儲けよう、良い車に乗ろう、快適な家に住もう」と西に行けば東に行くのが出家だという話でした。
    私もなかなかそのような生活や考えを持つのは難しいし「葬式寺の生臭坊主」も沢山いるけれど良し悪しを判断するのは自分だと思っています。良い情報は人任せではなかなか見つかりません。
    その話の中で江戸時代の「安藤晶益」を知りました。今年は彼の「平等主義」「農本主義」を囓ってみたいと思います。

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  4. !スノウさん 今年もこのコメント欄をスノウさんのブログのつもりで自由にお使いください。
     達観されたスノウさんのコメントは、そこはかとなく愉快で人生の参考にさせていただいております。
     昨年は平雅行氏の著された最新の鎌倉仏教論に触発されて道元を読んで見ましたが体の震える様な感動にはめぐりあいませんでした。で、一遍の読書で悟れるものでないことは解りました。

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  5. 私の大好きなお寺です。
    でも、もう長いこと行ってないなぁ!
    懐かしいです。

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  6. !wagababaさん 浄瑠璃寺は現在発掘調査をしています。このため池を写し込んだ写真はもう一つになります。
     再訪されるならよく情報をお確かめください。
     春になると、岩船寺までのハイキングコースに蕗の薹が芽を出します。
     この閉塞した社会にも春を呼びたいものです。

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