2025年12月9日火曜日

加藤九祚(かとうきゅうぞう)氏

    白石あづさ著『中央アジア紀行』を読んでいて、次のところでフト読むのが止まった。
 🔳 ウズベキスタンのガイド・サクラさん(日本留学中のあだ名)曰く「日本の考古学者の加藤九祚(かとうきゅうぞう)先生。ウズベキスタンでは有名人です。30年以上この国で仏教遺跡を発掘し続けた方で、2016年に中央アジア最大級の仏教寺院カラテパ発掘中に倒れ、テリメズの病院で94歳で亡くなりました。考古学者が少ない我が国で貴重な歴史を掘り起こしてくれた恩人です。」(白石さんは)初めて聞いた名前だった。紀元前から3世紀の仏教寺院をいくつも発見しただけでなく、加藤さんはテルメズの貧しい人たちを雇って発掘の日当を払い、博物館も私費で建設した。🔳
 考古学に強い奈良大学、帝塚山大学、天理大学や国立奈良文化財研究所などが集まっている奈良の地では、あちこちでいろんな発掘調査報告会が開かれるが、その報告の中で、先人加藤九祚氏の話は私のような者さえ度々耳にしていた。そんな先人の名が飛び込んできたので少し感激した。
 加藤九祚氏は2016年中央アジアでなくなったが、日本国内であった氏の偲ぶ会の案内状には、加藤さんの人生を物語る次のような文章が記されていたとネットで知った。 
 労働者であり、学究であり、思索の人であり、行動の人であり、考察する人であり、文筆の人であり、大地を掘り下げる人であり、人間をこよなく愛する人であり、酒盃に詩の言葉を浮かべた人であり、ひたすら人びとに愛された人、加藤九祚はその日の到来を誰にも告げず、ひとり悠然ともう一つの新たな世界へと旅立った・・という。
  サクラさんの話といい、加藤九祚氏の話といい、友情に国境はないとつくづく思う。根拠もあやふやな話を膨らませて「外国人が鹿をいじめている」というような排外主義をあおる人、アッ、彼女も奈良の人? う~ん情けない。

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