先日は佐紀池ノ尻古墳のことを書いたが、その発掘調査を担当した奈良市埋蔵文化財調査センターの展示室には、平城京で出土した『人面墨守土器』が展示されている。写真撮影可なので撮影してきた。
奈良時代には、土器に墨で人の顔を描き、何かのまじないをおこなってから川などに流すという風習があったといわれている。
このときに用いた土器が「人面墨書(じんめんぼくしょ)土器」と呼ばれていて、元々は煮炊き用に使われていた土師器(はじき)の甕(かめ)が多い。
奈良文化財研究所のレポートなどでは、「ところが、ここでひとつの疑問が生じてくる。人面墨書土器にはいったい誰の顔が描かれているのでしょうか」として、「中には目をつり上げた恐ろしげな顔を描いたものもある。一説によれば、それは疫病神(やくびょうがみ)や鬼神であると考えられる。奈良時代には、しばしば天然痘などの疫病が流行し、人々を苦しめましたが、それは疫病神や鬼神がもたらす病気と考えられていた。人面墨書土器はそうした迷惑な神々を追い払うまつり・まじないに使われたと考えられている」とある。
奈良時代の京(みやこ)平城京では、道路の側溝や運河の跡などから人面墨書土器が数多く出土する。疫病の流行をしずめるために、土器に疫病神や鬼神の顔を描き、それを水に流すことで、京から疫病神や鬼神を追い出すまつりがおこなわれただろう。
そういえば近頃、太平洋の向こうあたりに描いて流してしまいたい顔がある。
「関税はアメリカを豊かにする」とか何とか、恐ろしい独りよがりと分断と悪態。それに熱狂する信者・・・。
あまりの無茶さ加減に開いた口が塞がらないが、みんなで甕に決意の息を吹き込めて、流すか埋め込むかしてみたい。人面墨書土器を使った疫病よけのまつりは、京の外でも広くおこなわれていたというから・・・・・
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