2025年3月10日月曜日

明日は3.11

【1】15年前の2011年(平成23年)3月11日14時46分東日本大震災が発生した。
 人生で大災害に出会うタイミングは不公平で冷徹なものだが、そのとき皆さんはどこにおられたのだろうか。
 私は東北から遥か遠い奈良市内のビルの4階で講演を聞いていた。
 立っておられた講師は判らないが、吊り看板がゆっさゆっさと揺れて、敏感な受講者はざわついた。
 3時過ぎに講義が終わり、主催者からの「東北で大地震」とのアナウンスを受けて、マイカーで急いで帰宅した。3時半前に帰宅できたように思う。

 ここから先はテレビを見ただけなのだが、「現地」の多くは停電していただろうから、皮肉なことにほんとうの直接的な当事者以外でいえば、他の東北の人々以上に私はヘリコプターから現状を見続けた。
 そのテレビはライブであった。そこへ津波がやってきた。テレビに映っている人々の何人かは迫っている津波を知らずにいるのをテレビカメラは冷徹に映していた。
 早く逃げろ! そちらは危ない! ほんとうに声が出た。
 ニュース映像ではない。今その瞬間に津波にのまれ、もっと言えば目の前で死んでいく被害者をカメラは映していた。

 これはショックだった。後に3.11を語り合ったとき、あの津波をライブで見た人とニュースで見た人のショックの格差に驚いたが、それほどショックだった。
 津波はほんとうに恐ろしい。

 【2】東日本大震災は津波とともに原子炉のメルトダウンという大惨事を引き起こした。危険な燃料デブリは880トン(880,000,000グラム)と言われているが、これ以外にも被曝によって危険となった物質は膨大な量に及んでいる。
 それから14年が経過して、つい先日「遂に取り出した燃料デブリ」は0,7グラム・・・。
 政府は原発存続増強の決定を行った。自民、公明以外にも、国民、維新がその政策を進めている。
 「日本の知恵をもってすれば原子炉は制御できる」という意見があるが、私も自然科学と技術によって克服したい気持ちはヤマヤマだ。
 しかし私は社会科学で読み解く能力も大事だと思う。
 もし本当に原発が完全に安全なものだとしたら、原発は最も電力を必要としている東京湾や大阪湾に建てるべきだろう。なぜそうしない!
 この一点でも原発が危険なものだということは明らかだ。
 原子炉そのものが頑丈でも(福島の場合は頑丈でもなかったが)、外部電力のシステムや配管のシステムにトラブルが生じると、原発は一転核兵器に転じてしまう。
 ロシアによるウクライナのザポリージャ原発制圧を言うまでもなく、原発はその国の最大の急所になる。
 人間には自然科学と社会科学の知恵や感性が必要だ。

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