2023年10月3日火曜日

この国の同調圧力

   やっと書評が出た。10月1日付け9面『読書』の『ほんだな』で次のとおり紹介されていた。

 🔳 日本社会に根深い「同調圧力」を多角的に分析します。「空気を読む」との強制や、心身を萎縮させる「マナー」など、生活の中で遭遇する小さなものから、大日本帝国やナチス・ドイツの同調圧力による国民支配まで考察。同調圧力が発生する仕組みや、積極的に圧力に従おうとする人間の心理を読み解きます。抵抗力になるのは、「自分は個人であるという意識」だと強調。集団と衝突せず、同調圧力から心身の自由を守る方法や考え方を提唱します。(山崎雅弘著SB新書)🔳

 大きな章は次のとおりになっている。
 第一章 同調圧力・・心や身体にからみ付いて自由を邪魔する見えない「力」
 第二章 誰が何のために同調圧力を生み出しているのか
 第三章 安心感を得るために自分を「集団や組織」に埋没させる罠
 第四章 間違った道に進んでも集団が方向転換できない恐ろしさ
 第五章 集団や共同体の「みんな」と衝突せずに心身の自由を取り戻すために

 この本、相当以前に読み終えた。そして、大いに共鳴した、その共鳴の大きさ故にこのブログに感想を書けずにいた。

 私がこの本を読んでみたいと思ったきっかけは、ひとつは関東大震災の時の朝鮮人(中国人も社会主義者や労働組合役員もいた)虐殺のことである。そんな非道なことを、子供まで含むごくごく普通の市井の庶民が、自警団を組んでそんな虐殺行為を行ったのである。想像するに、それができたメンタルは「みんなしている」ではなかったか。

 ふたつは、特攻作戦である。夢も希望もある青年があんな無茶な作戦に「志願」させられたメカニズムの怖さである。形式的には「志願」というが決して抜け出させない「力」は何だったのか。外地や沖縄での集団自決もある。

 あえて極端なことを言えば、この夏も、自分で考えた結論として装着しているのなら良いが、「みんなしている」だけの思考で真夏の屋外でもマスクを着けている人が多かった。
 あえて言えば、この人たちが一旦ことあれば「虐殺」に手を貸し、そして自殺行為ともいえる作戦に「志願」を拒否できなくなるのではないだろうかと私は感じた。

 あの時代の人々も、平時には「そんな無茶なことには同調しない」と思っていただろうが、多くの場合、それは出来なかった。という話は「遠いあの時代」だけのことだろうか。「現代は違う」「私は違う」と言い切れるだろうか。
 
 あまりに紹介したいことが多すぎて、結局この本の感想を書けないままここに来てしまった。
 定価900円。この本は現代人が必ず購入して熟読すべき本だと私は思っている。

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