2019年12月15日日曜日

大阪雑煮

   赤旗日曜版15日付けに本田明子さんの「手作りのお正月料理」が掲載され、「大阪雑煮は師匠・小林カツ代の故郷の味です」とあったが、「大阪風なら許せるかも」と思いながらも「大阪雑煮」と見出しを打たれた以上は、・・・う~む、ちょっとだけ違和感がある。

 雑煮というのは各家庭ごとにいろいろなバリエーションがあるし、だいたい出身地が違う夫婦がその家の雑煮を作るのは当然のことなのだが、親の代までは大阪「せんば」にいた家の私としては、民俗学の記録としても、少しだけ大阪せんばの元旦の元来の雑煮について言っておきたい。

 ① まず、大阪の元日の白みそ仕立ての雑煮に「鶏もも肉」は入れません。
   正月二日は澄ましのお雑煮に変えますから、鶏(かしわ)をあえて使いたいなら二日に使います。こういう風に大阪せんばでは、元々は元旦と二日と違う雑煮にします。
 ② また、三つ葉、柚子の皮も入れません。これも基本的には澄ましのお雑煮です。(澄ましの雑煮の基本は蒲鉾と水菜と焼いた丸餅です)
 ③ 写真ではどう見ても普通の西洋人参ですが、これもアウトです。
   人参はどんなことがあっても正月だけは金時人参です。大根は細い正月大根です。丸餅は焼きません。
 ④ これはわが家だけかもしれませんが、白みそ仕立ての雑煮には最後に「花かつお」をふわ~と盛り付けます。
 以上です。大阪せんばの伝統的な元旦の雑煮です。

 なお、私の妻は大和の文化を受け継いでいて、大和国中(くんなか)では雑煮の横にきな粉を用意しておいて、雑煮の中のお餅だけはきな粉を付けて食べます。
 そして、今ではわが家では孫も喜ぶのでこのやり方を取り入れています。
 また、息子や娘、子供たちの家庭でははもう新しいお正月の仕方をしています。それでいいのだと思います。

 ただ、わが家に来た場合には、大福茶、祝い膳と祝箸、裏白、お屠蘇(これは普通のお酒)、基本的おせち、で、伝統を覚えてもらっています。

 非常に狭い経験でこの記事を書きました。異論もあるでしょうが、大阪せんばの伝統はこうだったと思います。
 余談ですが、故土井勝さんの話では、これは基本的には近江の雑煮と同じようです。なので、大阪せんばの文化は実は近江商人の文化だったと私は思っています。

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