方広寺 |
東大寺の職員の方に訊くと、鬼門にあたる柱であるから「鬼門除け」で穴を開けてあるという。
しかし私は、公式な文書(もんじょ)などにその理由を見つけていない。
大仏殿は奈良天平時代の創建後2回延焼して鎌倉時代、江戸時代に全面的に建て替えられているから、鎌倉期、天平期の大仏殿の柱にも穴があったかどうかも私は知らない。先に尋ねた職員も知らないという。
ところで、東海道中膝栗毛の弥次さん喜多さんは京都・方広寺で柱くぐりに挑戦している。
単に方広寺が東大寺の真似をしたのか、江戸期大仏殿が方広寺の真似をしたのかも解らないが、「鬼門除け」で柱に穴を開けるのが「常識」の時代があったのだろう。きっと。
近世までは陰陽道に基づく迷信が絶大な説得力を持っていたから、ここは「鬼門除け」でいいのだろうと思っている。
(どなたか他の寺社でこんな例があれば教えてほしい)
ある日の我が妻です |
私としては、柱の穴は大仏様の鼻の穴と同じ大きさなので「鼻の穴くぐり」でもあるから、大仏様の胎内進入の疑似体験のような気がする。
「胎内くぐり」はよくある宗教習俗で、再生、「生まれ変わり」を表す。一種の禊だろう。
適当な穴を「胎内くぐり」として崇めているところは多い。
なので、大仏殿の柱の穴を見たならくぐりたくもなるというものだ。
それが自然な日本文化だと思う。
私の息子は今でもくぐれるから、標準的なメタボでない日本人なら大人の男性でもくぐれるが、けっこう困難を伴う。
最初から万歳をして四角形の対角線を使用するのがポイントである。
片手から入って片手を残して肩で詰まる人も多い。
胸はクリアしたがお尻で詰まる女性は恥ずかしい。
先日は遠足の子供たちが順番待ちの行列をつくっていたから、我がメンバーは残念ながら挑戦できなかった。
シーズンオフや早朝、夕方に行くと並ばなくても挑戦できる。
どんな「行事」であっても見るだけよりも参加した方が楽しいに決まっているから、チャンスがあれば挑戦してほしい。
馬鹿馬鹿しい迷信だと顔をそむけるのでなく、先人たちのどんな思いが今日(の言い伝え・しきたり)を作ったのかと思案してみるのも楽しい。
21世紀の初頭に庭の土木工事をした折、工事業者から「東北の隅はL字型に欠いておきましょうか?」と尋ねられ「21世紀の現代に今も?」と驚いた。もちろん「いりません」と断ったが、鬼門の風習が面白いので、京都御所に倣って猿の置物を金網で囲って置いてある。
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