2014年1月3日金曜日

わが初詣は

 
  私のブログを読んで「マメでんなあ」とおっしゃる方がおられるが、私は本来、出不精で怠け者である。
 だから、初詣の大混雑などは考えてみただけで億劫になるのだが、かと言ってあまりに静かな初詣も寂しく思うという我儘でもある。
 と言いながら・・・、今年はメジャー中のメジャーの伏見稲荷大社に行ってきた。
 稲荷山には磐座(いわくら)があり銅鏡なども出土していることから、元々は相当古い祭祀遺跡(神奈備)らしいが、日本書紀や山背国風土記によると、渡来の氏族中の大集団を形成した秦氏の氏神としてスタートしている。
 餅を弓の的にしたところ、『餅が白鳥となって飛んで山の峰にとまって稲が生じた』という。それで、稲の神様、穀霊というのだが、庶民は秦氏集団の繁栄にあやかりたかったのかもしれない。
 その後は、真言密教等の仏教とも習合し、江戸の町の形容に「伊勢屋、稲荷に犬の糞」と囃されるほど全国に広がった信仰らしい。
 要するに、天皇や貴族や軍人を祀ったものではない非常に庶民的な信仰と言えるかも。

 ・・・・という理由でこの神社を初詣に選んだと言いたいところだが、親しい友人ならそんなことでないことは既にお見通しだろう。

  実は、昨年1年を無事に過ごせた感謝と新年の祈念もないことはないのだが、本心は、ここはパアーッと雀の焼き鳥で明るく新年を切り開きたいと思ったのが本音。

 そして、計画どおりお店に入ったら隣の席に信楽から来たという男性・・・、メニューを見て悩みながら「雀って美味しいんでしょうか?」と私に尋ねてきたので、「稲荷は元々は稲作の神様だからコメを横取りする雀を正月から食べたら縁起がよろしい。」と答えたところ、「私は農家で有機栽培をしている。ええことを教えてもらった。」と喜んで我が夫婦同様雀を注文した。
 ところが、一口かじって「私はやっぱり雀より鶏(ニワトリ)のほうがよろしいわ」と率直な感想。あとは、自然環境や食の安全の話に話題は移り、「これも一期一会のようなもの」「どうかよい一年を」と言って分れた。・・・ほんわかと愉快な初詣になった。
 まあ、伏見の雀は稲荷参りの行事食。それを美味しいとか何とか言うのは筋違い。と言いながら私はビールのあてとして十分満足している。これは美味しい。
 それにしても、世の中は長いデフレであったはず。いやいや、インチキアベノミクスの人為的インフレ策のせいか、以前は一串に二羽ついていた雀が一羽になっていて600円とは高くなったものである。
 ただ、各お店を覗いてみると雀は非常に減っていて、今や伏見の名物はウズラの丸焼きになっている。
 ここにも時代の変化があった。

  そして、もう一つ、行く前から計画していたのだが、孫の土産のために稲荷煎餅の店に飛び込んだ。
 ・・が、思ったように大きな狐の煎餅がどの店にも置いてない。
 「昔もっと大きなお面の煎餅が絶対にあったはずやが、このごろは作ってまへんのか?」と手作り中の親父さんに尋ねると、
 ・・・「そういう人が時々おまんのやが、この大きさは100年間は変わっておまへん。みんな自分が小さかったときに顔と同じ大きさやったと言やはりまんねん。」と、〈自分の成長は判らんもんやねえ〉という、ズバリ的を射た返事を受けて大笑いをした。(しかし、今でも顔と同じぐらいの大きさやったはずやと私は首を捻っている。) 

 そして伏見と言えば伏見人形だが、これは伏見の土師部が作り始めた我が国最古の郷土玩具。だからか?結構値が張る。
 で、行く前から「伏見人形は衝動買いしない。」と妻に約束させられて行ったので、約束どおり冷やかしただけで帰ってきたが、見物だけでも楽しかった。
 
 平成26年元日、お稲荷さんには申し訳ないが、100%ミーハーの初詣を楽しんで堪能した。

5 件のコメント:

  1.  ここの雀。メニューには国産と書いてあった。
     それで隣のおじさん、私に「養殖でっか」と聞いてきた。
     私は「そんなあほな」と答えたが、ならば、どこでどんな方法で獲っているのか?と聞かれれば、『害鳥と認定している農村県でカスミ網だろうか』と想像するがほんとうは判らない。
     どなたか、ご存じのお方は教えてください。

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  2.  カスミ網だと思います。私も小学生の頃スズメを捕獲するのに、近所のおっちゃんのカスミ網の仕掛けを手伝ったことの記憶があります。おっちゃん達は旨そうにお酒を飲みながらスズメの丸焼を食べていました。一度のカスミで数百羽は捕獲していたと思います。私は香ばしい鳥の味しか記憶にありません。今であれば、私が中心となりカスミを掛けて一杯やらなければならんところですが、そんなことしたら新聞に特集されかねません。
     時代は刻々変化しています。

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  3.  庭の2箇所にバードテーブル(野鳥の餌台)を置いています。
     そのため、静かな夜明け直後などは雀がいっぱいやってきて、近所に「騒音公害」と言われないかと心配するほどです。可愛いものです。
     窓のすぐ外のテーブルは、部屋の中からガラス越しに楽しく観察できます。
     それを見て妻は「美味しそうやなあ」と独り言を言っています。
     人間とは矛盾のかたまりです。

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  4. 時移り、可憐な乙女は何処!

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  5.  昔乙女は伏見の雀にかぶりついておりました。

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