2014年1月10日金曜日

かぐや姫の物語

 
  息子夫婦の知人がセル画の制作に参加しているというので、ジブリ作品・映画「かぐや姫の物語」を観に行ってきた。(興行に貢献しに・・)
 ジブリ作品は毎回キャッチコピーが有名だが、今回のキャッチコピーは「姫の犯した罪と罰」で、いささか物騒であった。
 そんなこともあり、竹取物語の原作を交えて「姫はいったいどういう罪を犯したのだ」というような論議が文章やネット上で盛り上がっているが、映画そのものの中ではあまり言及されていなかった。ぼんくらな私が感じ取れなかっただけかもしれないし、高畑勲監督が故意に伏せたのかもしれない。
 だから、私は判ったような顔をしてその議論に参加したいとも思わないし、それ以上に、その議論は所詮キャッチコピーの掌に乗せられているだけではないのかと冷めた目で見ている。
 そういうニュートラルな位置で観た感想を言えば、ストーリーはほゞ竹取物語そのもので、それを美しく心地よいアニメに仕上げてくれたものという感じを抱いた。
 だから、スリリングな展開もないし、凝った心理描写も感じなかった。
 つまるところ、あまりお説教臭くもなく、高畑勲風(というほど映画も見ていないので本当にそうだかはわからないが)というかジブリ風に、庶民目線で『生』を肯定しているように思え、そういう『人生賛歌』が、反って閉塞感漂う現代にあっては新鮮だったかもしれない。
 同時に、月からの迎えの使者は明らかに仏様であり、それに平等院に描かれたような天女たちであったから、沖縄のカチャーシーのような音楽には若干違和感も残ったが、月に帰っていく場面は『往生』を強く連想させ、明るい音楽にもかかわらず別れの悲しみが漂っていた。・・・なら、この世の人生は罰ではないはずだ。で、キャッチコピーは結局私には判らない。(地上で罪を犯して罰として月に召還されるなんていうことでは全くなさそうだし・・)
 巷に氾濫しているアニメ以下の凡作と思うかどうかは評価が分かれるだろう。
 私はシニア料金の映画としては十分満足した。
 古典を美しい現代詩に口語訳して提供してくれたのだと素直に評価したい。
 キャッチコピーには踊らされない方がよい。
 情報化社会は油断していると恐ろしい。

4 件のコメント:

  1. 私も嫁はんも姫の犯した罪とは、首をひねりながらシネコンを出ましたが、画の美しさに感激して合格でした。

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  2.  ひげ親父さんもそうでしたか。
     少し離れすぎた(度が過ぎた)キャッチコピーは考えものですね。

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  3. 私はあまりキャッチコピー気にしなかったわ!キャッチコピーはキャッチコピーですもの・・・。

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  4.  匿名さん、それが一番純粋な観賞ですね。美しい絵で古典を楽しませてくれました。同意。

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