2014年1月25日土曜日

冬の鍋とくると

  私の当番の日というようなことではないのだが・・・、その日、私が夕食を担当することになったので、チラチラ舞い散る粉雪を眺めながらいろいろ考えたが、単純な頭は「冬の鍋となると牡丹鍋」と極めてシンプルな答えを導き出した。
 それで、「食べるのなら牡丹肉を差し入れするよ」と息子のお嫁さんにメールを入れると、「食べに行きます」と返って来たので、それならと一層準備に力が入った。
 「力が入った」といっても、買いに行く気持ちに力が入っただけで、野菜等の鍋そのものは極めて簡単な準備でしかない。

 で、「今日は何枚ぐらい毛皮が干されているかな」とワクワク想像しながら、車を、南山城は和束(わづか)の山中へ向けた。
 もちろん、目当てはイノブタではなく猟師の仕留めた天然イノシシである。(天然でないイノシシなどあるの?)

 目的地の店頭に干された毛皮はおびただしい数(写真の5倍以上)だった。よ~し。
 この毛皮、私は酒屋の「新酒が入りました」の杉玉のように、「シシが入荷しました」という看板のようなものだと思っていた。笠置の山腹の料理屋などでも表に干してあったし・・・。
  だから、そのように妻にも息子夫婦にも説明してきた。が、
 しかしこの毛皮、実は税込2,000円で販売しているらしい。
 そして説明では・・・・・、
  軽く干してある。
  加工はしていない。
  昔は長靴を作っていた。
  今はこれといった用途はない。
  山のダニ(タニコ)が付いているかもしれない。
  タニコに噛まれると3年間は痒い。 
  故に絶対に家の中では袋を開けるな。・・・・・ということだ。
 ちょっと魅力もあるが、最後の3項目にたじろいだ。

 「今日食べるのなら冷凍でない生肉がありますよ」と聞かされ、肉の塊を見ながら、「ここを600グラム」と美味しそうなところを指定して切ってもらった。生姜焼き用と豚カツ用の中間ぐらいのなかなかの厚さである。
 ついでに、冷凍された天然鹿肉の刺身も購入した。(天然でない鹿などあるの?)(*刺身は一旦冷凍したものが安全。)
 こうして、牡丹鍋はオーソドックスな味噌仕立てに、鹿肉のお刺身は生姜醤油でいただいた。
 シシ肉は、それこそ天然だから一頭一頭当たり外れが避けられないが、答えは『当たり』で、この厚さにして脂もあったし柔らかかった。
 だから、孫の夏ちゃんも美味しい美味しいと言って牡丹も鹿も食べてくれた。
 嘘かほんとか知らないが、店のチラシには「猪はマムシを食べているので寒い冬には体の芯から温まり精がつきます。」とあった。
 私には、そんな薀蓄よりもこの孫の「美味しい」の一言が一番の報酬である。
 妻は、娘が女友達の食事会で魚の目玉を食べてひかれたように、夏ちゃんがお爺ちゃん(の食の好み)に似るのが心配だ・心配だと言いながら、私と一緒に「イノシシさん美味しいねえ」「もっと食べ、もっと食べ」と孫に勧めていた。

3 件のコメント:

  1. 今朝の「毎日」に滋賀県多賀町の22歳の女性ハンターの特集が載っていました。父親の背中を見て育ち狩猟免許を取ったそうです。夏ちゃんは食べるだけですむかな?

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  2.  イノシシやシカによる農作物の被害が広がっていますが、ただ「人間が獣の世界に立ち入りすぎたため」というほど単純な問題ではないのでしょう。
     つまり、一定規模の狩猟も必要で、それを人工的と言えば、自然はそういう人工的な営みとバランスをとって存在するのが健全なような気がします。
     よって皆さん、冬にはボタン肉、モミジ肉を食べましょう。牽強付会ですか?

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  3.  妻が友人と遊んできた。
     友人夫婦は、食の習慣を頑ななまでに変えないので有名だった。
     よく似た歳恰好の孫もいる。
     この話をすると、我が夫婦がめっそうもない野蛮人のように思われたと言って帰ってきた。

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