2014年1月20日月曜日

よろしぅおあがり

  先日テレビで、痛みの方言(東北弁)をデータベースに編んでいる話が報じられていた。
 東日本大震災に派遣された医師が「どんな風に痛いですか?」と聞くと、「いかいか」とか「えがえが」とか「いずい」と答えられて判らなかったという。確かにそうだろう。
 年齢による「死語」もよく似たもので、私の実母が施設に入所していた時にスタッフの方々と話し合ったことがあるが、その時に、若いスタッフが最初の頃は「ごふじょうに行きたい」「はばかりに連れてって」という入所者の言葉が判らず困ったことがあったと話してくれた。これも判る。「高野山」と言われなかっただけましかもしれない。
 テレビが標準語というか共通語を全国に広めた功績?は大であるが、それでも地域に根差した言葉は生きている。

 テレビで吉本の若手芸人が、「よろしぅおあがり」という言葉を知っていると語っていた。
 若いながら立派なものである。
 ところが、彼らが言うには、「いただきます」という言葉に呼応して「よろしぅおあがり」と応えると言って、多くの知らない芸人に対して一部の知ってる派が「そやそや」と言っていた。
 私はええっと反応した。それはポチに対して餌を並べて「まて」「よし、おあがり」やないか。
 「よろしぅおあがり」は、「ごちそうさまでした」に対して「よろしぅおあがり」と応えるものやないか。
 それで驚いて辞書を調べたがこんな言葉はそもそも出てこない。で、ネットで調べてみると「いただきます」に応えるというものもあった。・・・・だが私は信じがたい。現にそういう意味で生きている方言の地域があればごめんなさい。
 我が家は断然「ごちそうさまでした」対応であるし、義母が泊った日などは「ごちそうさまでした」に対応して「よろしぅおあがり」は必ず繰り返す言葉である。
 東北の老人の話ではない。吉本の若手漫才師は上方落語ぐらい聞いて関西弁を正確に身に着けたらどうだろう。

 息子や娘がホストになって私たちが食事を戴くこともなくなったから判らないが、子供たちは自分の家で「ごちそうさまでした」「よろしぅおあがり」との言葉のキャッチボールを引き継いでいるだろうか。
 私たち夫婦がきちんと継承させたかどうかは自信がない。

6 件のコメント:

  1. 祖母が言ってたように思います。勿論、「ごちそうさんでした」の後につく言葉です。親子など比較的親しい間柄の間、かつ目上の者が使う言葉だと思ってました。

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  2.  普通私たちは自分が子供の頃に母親が使っていたから「目上の人が使う言葉」の印象があるのかもしれません。
     それに「おあがり」という言葉が、現代語の「食べなさい」という命令形を連想させているのかもしれません。それがついには、「いただきます」「よろしぅおあがり」という誤用を生んだのではないでしょうか。以上は全くの想像です。
     今では妻が文字どおりの『主婦』の座ですから、子供たちファミリーが来ても、そして義母(妻の実母)が泊っても、「ごちそうさま」「よろしぅおあがり」に全く違和感がありません。

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  3. 「よろしうおあがり」は何度か聞いたことがあるくらいで、ぼくもぴんとは来ないくらいのことばです。確かに、規範から見れば誤用ですが、言語学的には、語法でよく使われる用法に連想で意味が変わっていくというのは、よく知られた現象です。人為的な規範に対して、生活の場では言語の用法はつねにわかりやすく変化していくということでして、「化学」を「ばけがく」と読み、「市大」を「いちだい」と読むのも、同音異義語が多い日本語での差異化と言えます。

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  4.  井上ひさし氏が『日本語教室』で述べているように、「言葉は常に乱れている」「日本人に文法はいらない」という考えに基本において賛成です。慣用句なども誤用の方が多数になった場合に、「そもそもその淵源は」と語るのはナンセンスかもしれません。
     と言いながら、「よろしぅおあがり」をこのように語り合うのも楽しいことです。
     mykazekさん、あなたが料理を担当した日に奥さんが「ごちそうさま」と言ったときには「よろしぅおあがり」と応えてあげてくださいね。

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  5. たはっ、恐れ入ります! 料理に精進します!

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  6.  それを見て、娘さんが(今は乳児ですが)文化を引き継いでくれることでしょう。

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