2014年1月29日水曜日

シベリアを思う

  寒い寒い日、一念発起して春日奥山から若草山頂上まで散歩をした。
 月日亭の前を抜けて歩く遊歩道だが、その昔はバスが走っていたという。
 今風の市民運動としての自然保護運動ではなかったが、主に知識人による春日山原生林の自然保護、環境保全運動の結果、現在はバイク以上通行禁止の遊歩道になっている。

 実母の老々介護以降、自分の不整脈もあり本当に運動をしなくなっていた体に喝を入れる気もあったが、その実は、ハイキングにもならないカメラをぶら下げてのぶらぶら散歩だった。
 
 遊歩道に入る前に、以前にはあった古い大木がきれいさっぱりなくなっていたのに驚いた。
 その昔は、アオバズクが子育てをしていた古木であるが、前の家の老夫婦に、以前に「枯れて倒れると何時家が潰されるかわからない」という話を聞いていたからやむを得ないかもしれない。
 で、今回も老夫婦に聞いたところ、伐採の時にムササビの巣があって、ムササビの子供たちだけがいたという。
 老夫婦は、朝晩はムササビ、リス、イノシシが家の周辺に現れるという。まさに原生林の入口である。
 ただ、知事はこの素晴らしい原生林のすぐ横(ほんとうに直ぐ横)の若草山南麓にモノレールを建設したいと言っている。一時的に建設工事を発注できたらそれでよいようだ。原発再稼働や文楽への補助金削減と同じで、経済の論理が文化の思想を蹂躙しているように思う。
 
 そこで本題だが、カメラをぶら下げてはいるものの、なかなか野鳥が現れない。
 イカルの声が時々するが姿が見えない。
 奈良公園、春日山に関する限り極端に環境破壊が進んだようには思えないから、冬鳥たちの故郷、シベリアの環境の劣化が急速なのだろうと想像する。
 いやいや、奈良公園のシルクロード館あたりも、若草山頂上付近も、結構工事のための工事が進んでいるから、ロシアだけのせいではないかも。
 ようやくシロハラが キョロン ケッケッ と鳴きながら挨拶に来てくれて、少しホッとした。

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