2013年12月28日土曜日

箸袋をつくる

  タイトルにするほど大層なことではないが、お正月用の祝箸を(正確にはその箸袋を)つくった。
 重ねて言うがそんな大層なものではない。
 つくろうと思い立った動機は二つある。
 一つは私が悪筆で墨痕鮮やかな習字ができないこと、・・・・だから皆の名前が正月早々貧相になってしまうのが辛いこと。兼好法師は「手のわろき人の、はばからず文 書き散らすはよし」と言ってくれるが、当事者は辛い。

 もう一つは、この街のショッピングモールでは、売っている祝箸の全てが『上からお箸を差し込む関東型』で、『下から差し込む関西型』の祝箸を全く置いていないからである。
 昔、多くのスーパーでは「鶏レバー」と表示されていたのにダイエーだけは「きも」と表示していたのは有名な話だが、それは懐かしい昔話になってしまい、関西経済の衰退(関西文化の地盤沈下?)はここまで(つまり関西型の箸袋が全滅するところまで)来たのかと気持ちが沈んでいる。
 ISOだとかグローバリゼーションだとか、画一的で東京的なものが地域や文化を駆逐していっているようだ。
 関東型を置いているのが悪いわけでないが、関西型がゼロはないやろう。

 ということで、それなら『下から差し込む関西型』の箸袋を自分でつくろうと決意した次第。
 で、・・・始めてみると非常に簡単で、A4縦を縦に四等分して、その端の四分の一を切り捨て、残りの紙を折りたたみ、上のほうをまとめて裏に折り返したら基本的には終了する。
 後は、箸を差し込む下の方の左右を三角に切り込むと形の基本は終了する。
 そして、その形を想定して、寿の文字や鳳凰の図をあしらい、親族の名前を書き込んだ。(書き込んだというかパソコンで印刷した。)・・・順序としてはこれが先。
 いわゆる取り箸は関西ではふつう「組重」と書くらしいが、我が家は「山海珍味」と書く。そして、お供え用に「神仏」と書く。「山海珍味」のいわれは判らない。代々のしきたりとしか言いようがない。
 ・・・・・・・名前をパソコンで印刷することについては、いろいろご意見もあるだろうが、実際、毎年毎年この時期、新聞の投書欄などでは「パソコンの味気ない年賀状より手書きが良い」という決まりきった投書が必ず掲載されてゲンナリするが、それだけに、そういう負い目を背負って、手書き以上の年賀状にしようと毎年努力している。で、箸袋の印刷もここは容赦願いたい。
 金色の「水引もどき」で飾り、孫の分にはシールを貼って完成した。
 「水引もどき」だが、それらしい水引をつくるのは難しく、妻と二人で悪戦苦闘して「もどき」にした。
 妻は、「よう次から次へといろんな物を手作りしようとするもんやなあ」とぼやきながら手伝ってくれた。
 元日からスーパーが開いている現代、お正月の準備なんか止めようかという気持ちが無くもないが、以前にスノウさんから教わった「告朔の餼羊(こくさくのきよう)」という教えを思い起こし、最小限の準備をしつつある。
 そうして、少しずつお正月が近づいてくる。

3 件のコメント:

  1.  水引もどきの作業前の箸袋を見て、妻は100%購入してきたものだと信じておりました。
     それほど、簡単にそれらしいものがつくられます。
     A4縦の4分の1の四角形のテキストボックスを3つ並べ、枠線を薄い薄い色にして作業をすると簡単です。

    返信削除
  2.  凄い作品で感銘を受けております。今日初めて長谷やんのお孫さんの名前が「なつき」ちゃんであることをお正月のお箸で分りました。なつきと言う女性は私は「岡本なつき」しか知りません。我家の正月は一番年の若いのもが、買ってきた箸袋にそれぞれの能書きを書くことになっています。(おもろいから)字の勉強にもなります。

    返信削除
  3.  バラやんコメントありがとうございます。でも、ほんとうに大したものではありません。
     バラやんの「能書きを書く」のは素晴らしいことです。このお正月のはどんなものだろうかと興味がわきます。
     孫の名前は息子夫婦が万葉集(巻1-28)「春過ぎて 夏来るらし 白妙の 衣乾したり 天の香久山」からとったものです。それについては、このブログの2013.6.12「夏来るらし」に少し書いております。

    返信削除