
防衛、外交、特定有害活動、テロなどの情報が対象だというのだが、悪い冗談でなく「どういうものが秘密事項なのか」と聞くと「それは秘密だ」というものである。ウソのようだがほんとうにそういうものである。
何でも戦前になぞらえて「オオカミが来た」的に語る気はないが、「戦後レジームからの脱却」をいう安倍首相が戦前の国防保安法や治安維持法を肯定的にイメージしていることは間違いない。
直接的には、イラク以後日本の直接的な軍事的貢献を強く求めてきたアメリカが、軍事戦略や情報が日本から漏れないよう対策を立てろと要求してきたものであることは周知の事実であるが、同時に、改憲に熱意を燃やす首相が、予想外の9条改悪反対、96条改悪反対の世論の反発を受けて、「それなら沖縄密約方式で事実上の改憲を進めて海外派兵をしよう」、「世論なんか“現地の日本人の命を助けるためだった”ぐらいのことを言っておけば何とでもなる」、「その情報が漏れないように法律を作ればいい」と考えた所産に違いない。
特定秘密保護法案は偽装改憲である。
ということをブログに書いたら懲役10年なのだろうか。
政府・与党の修正協議では「正当な取材の自由には配慮することにした」らしいが、この文言はイチジクの葉っぱにもならないと思う。
私は結構政府の報道管制やマスメディアの癒着ぶりも知っている方だと自負しているが、それでも、ネット(youtube)上で入手したフクシマ原発事故に関するドイツ公共放送テレビの報道を見ると、驚きの事実(直後の例の水素爆発と言われているものの嘘や日本で一切報道されなかった諸事実)の数々に目が回りそうだ。
知る権利は今でもこの有様なのに、この法律後は懲役刑をもって情報を管制するのだ。
報道が縛られる、公務員が縛られるというのは国民全体が縛られることである。
まさに、『「ブレジネフは馬鹿だ」と言った男が国家機密漏洩罪で投獄させられた』という有名なロシアンジョークを笑うことができない。
才能のない私などは『首相は嘘つきではない。IOC総会では原稿を読み飛ばしただけだ。原稿には「汚染水「の報道」は完全にブロックされている」と書かれていたのだ。』とか、
『「フセインは核兵器を隠したらしい」と言ってもいいが「実は持っていなかったんだ」と書けば秘密漏洩で逮捕される。』というぐらいの駄作しかできないが、秘密保護法案は格好のロシアンジョークの題材ではなかろうか。
素晴らしいロシアンジョークは、シュプレヒコール以上の効果を発揮しないかと密かに思っている。
誰か作品をコメントしてくれないだろうか。