2013年10月1日火曜日

ギリシャの混迷とダンダリン

  昔、当時の大人の人から、「生活改良の運動なんかしているから社会が変わらないんだ。」「圧政によって庶民が貧しくなると人々は立ち上がるんだ。」と聞いたことがあるが、もちろんそんなことはない。
  ギリシャでは、厳しい緊縮政策と失業の激増という閉塞感の中から「黄金の夜明け」という政党が急伸した。公約は、「すべての移民を国外追放し、国境地帯に地雷を施設する」だ。シンボルデザインも鍵十字によく似ている。
 昨年6月の総選挙で7%、18議席を獲得、9月には13~15%の支持率だった。
 そして、同党党員が反ファシズムの歌手を刺殺する事件まで発生し、それまで黙認していた政府も、ついに党首と国会議員4人をその殺人事件関与の疑いで逮捕した。
 私は、ネオナチ、ファシズムの台頭はこういうものなのだろうと思うとともに、どうして日本のマスコミはこの「時代の警鐘」を十分に報じないのだろうと気を重くしている。
 あまり歴史を図式的に語るのは避けなければいけないが、戦前の軍国主義台頭の土壌も大恐慌、失業、豊作飢饉等々にあった。
 先日来、「大阪では何で松井氏や橋下氏のような人物が知事や市長であり得るのか?」という質問を受けるが、そこはやはり「明日のことなんかどうでもええ」というぐらいに心身が疲れた庶民の生活の状況があるのだと思う。
 言い換えれば、「十把一絡げに・・・既存の政党にはうんざりだ。」「何でもええから、何かやってくれそうな話に懸けてみたい。」といったところではないだろうか。
 その限りでは、全国共通の課題であり、他県では、多少タテマエが尊ばれ行儀の悪い様を恥ずかしく思う風土が僅かにそこへの転落を堰き止めているだけではないだろうか。
 以前に「恒産なくして恒心なし」という孟子の言葉を引いて、失業や不安定雇用は良識や道徳を崩壊させることを書いたが、つくづくそう思う。
 故に、労働政策の充実は民主主義擁護の背骨である。
 橋下維新の労働規制緩和特区の危険性もここにある。

 話はエーゲ海の向こうのことではない。今や非正規雇用労働者は労働者全体の3分の1を超え、1990年代半ば以降、特に15歳から25歳の若年層で急増している。

 そんな中、読売テレビ(日テレ系)で10月2日スタート、毎週水曜夜10時、ドラマ。
 『働くひとを守るために、働くひとがいる : ダンダリン : 労働基準監督官』が始まる。
 期待はしたいが、だらしない上司や同僚の方が目立たないかと、年寄りは何かとつまらぬ心配をしている。

10 件のコメント:

  1. 昔は、革命論の中でも窮乏化論などと言って、労働者が窮乏すれば社会変革の革命が起きると言われていましたが、そういうのは民主主義が未熟だった時代の理論だったのだろうと思います。私も民主主義と経済発展との関係はよくわかっていませんでしたが、最近やっと少しずつわかってきました。議論をして事業の社会的な意義を検討して定めていくことが経済社会の発展のためにも大事です。冷戦期のように、「民主的な」資本主義国が社会主義国より経済発展を遂げるという、しょうもない体制論ではありません。

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  2.  mykazekさん、コメントありがとうございます。
     近頃の私の関心事は、橋下氏や安倍首相のような、私たちの青壮年時代には語るのが恥ずかしかったような、あまりに粗雑で品位に欠ける軍国主義的な主張が一定程度支持されている原因を深く理解し、社会の傷が深まらないうちに対応すべき展望を明らかにすることです。
     mykazekさんのような瑞々しい若者のご意見にはいつも感心し学んでいます。

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  3. 長谷やん、皆さんと同じく堺市長選挙の結果は嬉しいです。でも、選挙期間中竹山候補にテロ行為が行われないかと心配でした。ギリシャの「黄金の夜明け」と維新は同じようなそんな体質を持っていると思います。過去、長崎市長選挙で右翼のテロがあったことも日本でも決して稀有ではないと思います。堺では広範な市民が一致していた事が大事だったと思います。さて、ダンダリンですか・・・私はTVは見ませんから大きなことは言えませんがこれは水戸黄門のようなガス抜き番組で安倍首相の「女性活用」のチョウチン持ち番組だと今日の「赤旗」新聞の試写室欄を読んで直感しました。

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  4.  スノウさん、ご心配ありがとうございました。  やくざ映画で一番怖いのは「目がトンデる」パシリかも知れませんが、私の知る範囲ですが、維新の一部の運動員の目は怖かったです。
     これで、維新というだけで無党派層(浮動票?)の支持が集まる状況にはなくしたと思います。それ以上に、日本の黄金の夜明け=維新に消え去ってもらうためにはあと一汗二汗かかなければならないと思っています。
     ダンダリンですが、私は「先ずは見てから」と考えています。

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  5.  長谷やん、今日のブログ興味深く読みました。
     ギリシャの極右政党の台頭と橋下維新の台頭の共通性、さらに橋下市長による労働規制緩和特区の危険性、そこから今日放送のテレビ「ダンダリン」にと、今話題のテーマを一挙に提示し、ひとつの記事にまとめた見事な手法には感心しました。
     またあなたの記事に多くの人がコメントを寄せ、討論の広場のようになっているのもそんな記事づくりの巧みさが反映しているのだと思います。これからも楽しみにしています。

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  6.  いつも発作的に書いているので「あんたの記事はどこへ広がっていくのか判らん」と叱られています。
     スノウさんにはやんわりとたしなめられています。
     元々、些末な日常を気軽に書く・・がブログのコンセプトですので、大層に期待しないでください。
     おっさんの「生病老死と信仰」のように重い課題からは逃げ、ひげ親父さんのように政治課題を正面から論じることもせず、自分のブログを読んでは「そやそや、判る判る」とほっとしています。

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  7. 「たしなめるなんて」とんでもない!!何時も「ヤマシロダヨリ」に教えられ啓発を受けて長谷やんの様な生き方、考え方に共感と安らぎを感じています。家族にも、社会にも、日本歴史にも、暖かい眼差しを向けておられるブログに感動・感謝しています。

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  8.  スノウさん、 お世辞に乗っかって御礼申し上げます。引続きコメントをよろしくお願いします。

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  9. 録画していた「ダンダリン」見ました。面白かったです。同僚や上司が何故だらしないのかその辺のところの掘り下げがあったらと今後に期待しています。

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  10.   yukuriさん、コメントありがとうございます。
     私は「これはコミックだ」と気楽に見ることに決めました。
     このコミックドラマで、ブラック企業の問題、過労死・過労自殺の問題、労働行政と公務員労働者の問題を論ずるのは野暮かと悟りました。

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