2013年10月10日木曜日

大黒さま

  以前に書いたことがあるが、私が小さい頃、我が家では甲子(きのえね)の日に大黒さまの掛け軸を掛けて「てんこ盛りの赤御飯」を供えていた。
 上に載せたお茶碗の蓋が湯気によってガチャンと落ちたら「食べてくれはった。」と安堵した。
  父母がいなくなった現在、これが直接的にどういう信仰(しきたり?)であったのかはいろんな考察をしてみたのだが判らない。
 またそれとは別に、母は出雲大社の信仰を持っていたので、今でも我が家には小さな木彫りの大黒さまがおられる。
  そんなことで、門前の小僧ではないけれど、孫のお宮参りにオオモノヌシ=オオクニヌシを祀る大神(オオミワ)神社に行ったときには、二礼四拍手一礼で「幸魂 奇魂 守給 幸給 (さきみたま くしみたま まもりたまい さきはえたまえ)の神語ぐらいは唱えることができていた。
 そもそもオオクニヌシの信仰は、アマテラスの信仰を戴き国譲りを受けた天皇族以前の先の大王の信仰であるが、現在庶民にイメージされているのはシンプルに心強い福の神だと思う。私としてもそれで何も不満はない。

左右にもっともっと並んでいる
  さて、私の好きな古書店のひとつに上六の天地書房がある。
 歴史の古書は奈良の東向き北・南、餅飯殿の古書店にも多いが、天地書房の方が値段が安いように感じていて贔屓にしている。
 先日、いつものように立ち読みをつづけた後に1~2冊を求めたが、その時、レジの後ろの棚の上の方に大量の大黒さまの並んでいるのを見つけた。ほんとうにすごい数である。
 尋ねてみたが「先代から引き継いだんです。」と言うだけで、集められたイワレ・イキサツ等は解らなかった。
 ほとんど全てが黒光りというか黒いので、荒神さんのように竈近辺の神さまだったのか、あるいは囲炉裏のため??、それとも、この古書店に来てからでさえ長い年月が経ってくすんだのかも判らない。
 なかなかの数であるから、一見の価値がある? 時間があれば覗いて見られることをお勧めする。
 
 世は活字離れと言われて古書店の経営も厳しいらしいが、去りゆく活字派のためにこの古書店が繁盛するよう大黒さまには天井近くから見守っていてほしい。

  余談ながら、古書店が集まって開催される『古本市』があるが、あまりに冊数の多いのもくたびれる。
 そして、「そうそう、やっぱりさっき見つけたあの本を求めよう」と思ってさっきの辺りに帰ってみても、同じような書架がいっぱいあって、さっきの本が見つからない。
 体力が消耗したときの古本市は、楽しさ半分、悔しさ半分のときが多い。

6 件のコメント:

  1.  大黒さまの話は、常識にあふれた現代人には興味が湧かないようである。それもよい。
     しかし、「記紀は8世紀律令制国家が作りあげたフィクションである」という津田左右吉の解釈からそろそろ離れなければならない。記紀は歴史書である・・・・小路田泰直「神々の革命」かもがわ出版・・・・という指摘もある。(しかし記事ではオオクニヌシは論じていない。)
     古書に関して言えば、断捨離などと唱えて古い本を目の敵にする風潮があるが、私は、「読まない本でも身近に置いておくだけで賢くなる」という一派に属している。

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  2. 一般的にはヒンズーの神の化身で日本では神仏習合により大黒様と言われる。というような話が出てこないのは、後からとってつけた俗説、という事でしょうか?今、四天王寺さんで「秋の大古本祭り」をやっています。

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  3.  時代時代によって神も変身し習合し進化?するのでしょう。 で、国つ神=土着神の主神がただの福の神に???
     四天王寺さんの古本市、ニュースで見ています。記事のとおり出かけるには気力も必要です。それに、見つけてしまうと買いたくなりますから懐具合から二の足を踏んでいます。

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  4. 20代の時は古本市をいくら回るのも苦になりませんでしたが、最近は視力が少し落ちてきまして、しかも置く場所に困るので買いにくくなりました。それでも、神田神保町で鍛えたせいか、今でも目当ての本は山ほど置いてある棚の中からタイトルが光って見えます。

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  5. たまにありますね、一時、古い釣り本に凝っていた時、続けて二冊、同じ書店で見つけました。後で聞いたら、その筋(釣り本の)では有名な古書店でした。

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  6. mykazekさん、私の書架は奥行3列ぐらいで横積みのものまであり、そのまま古書店のありさまです。
     ですから、全く同じ本を2冊買ったなどというのも珍しくありません。
     「タイトルが光って見える」には敬服の至りです。
     ひげ親父さん、欲しかった本を古本屋で安く見つけたときは幸せ感を感じます。
     そして、家のキャパから本を処分するときは肉親と別れるような寂しさを感じます。

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