2013年7月8日月曜日

皆保険制度で助かった

  この春、貧乏神は何の前触れもなく突然やってくるものだということを実感した。
  世の中で日々起こっていることは当然自分たちにも起こり得るものだとは頭では判っていても、いざその場に直面すると情けなくうろたえる。
  結果的には世間から見れば取るに足らない1週間程度の入院と手術であってもそうである。

  そこで言いたいこの話のテーマは、その折に「国民皆保険制度はありがたい。」とつくづく実感したということである。
  制度が後退し、お世辞にも優等生とは言えない国民健康保険であるが、高額療養費が予想されるため「限度額認定・標準負担額減額認定証」を病院に提出しておいたので、月をまたがったりして翌月分は上手くいかないところがあったとしても、治療費として支払ったのは当該月5日間の分で8万4千円程度であった。無保険ならこの月5日間で50万円程度となる。
 制度的には、100万円の治療費でも約9万円の負担で済む。

 事実上頓挫したオバマの健保制度創設の主張に対して「オバマは社会主義者だ。」と大反撃したアメリカの保険・金融業界、製薬業界からすればこれは苦々しい制度だろう。
 マスコミはTPPを農業問題に矮小化しがちであるが、TPPに参加すれば、こういう政府の関与した日本の健康保険制度はアメリカの自由な保険業界、製薬業界の商売を邪魔する障壁だとして崩壊させられる。

 ちなみに、日本の労災保険(業務上災害・通勤災害)の場合は基本的に自己負担はゼロ円である。(通勤災害で休業給付を受ける場合(第三者行為災害を除く)のみ1回だけ一部負担金200円が減額されるが)
 アメリカは先進国だとの大きな大きな誤解があるが、アメリカには連邦政府所掌の労災保険制度はなく、州ごとに民間保険等を活用した制度があったりなかったりである。
 自民党政権下でも民主党政権時代にも、規制緩和の掛声の下「労災保険制度の民営化」が主張されたことがあったが、日本の政治のことは、日本よりもアメリカのことを見る方が「どこからそんな主張が出て来たのか」がよく解かる。
 みんなの党の主張がそうである。この党の危険性は軽視してはならない。

 TPPはアメリカの市場拡大戦略だという、こんな単純な事実を、「乗り遅れる」「アジアに取り残される」「鎖国でいいのか」というような三文芝居以下の扇動と脅迫で覆い隠している。
 いま世界は、アメリカ政府ですら制御できない多国籍企業(資本)の欲望のままに「国民国家」が壊されていっている。
 民主党にがっかりしたのでやっぱり自民党・・では済まないと思う。(TPPについては全く同じ穴の貉だろう。)
 堤 未果著の岩波新書「貧困大国アメリカ」の3部作を読むと、怖ろしい日本の未来が想像される。
 政府というのは、国民の生活と平和を守るために働かなければならない。こんな当たり前の事柄のために大声を上げる必要があるところまで危機は迫っている。
 医師会や農林漁業団体を始め、かつて自民党の票田と言われていた層から日本共産党への期待が広がっていることは理由のないことではない。

 いまアメリカでは、一般新聞はあまり報じないが、一流企業を退職した市民が病気=医療費のために音を立てて自己破産等に転落していっている。これは他人事ではない。
 3週間ごとに通う医療費と薬代を見ながら、日本の皆保険制度はありがたい、TPPは絶対に許してはならないとつくづく思う。でも、国保税も介護保険料も高すぎる。年金生活者にはキリリと痛みが刺し込んでくる。
 「軍事費を削って福祉と教育に回せ!」は、核心をついたスローガンだと思う。
 「福祉充実のための消費税」は全くの嘘である。屁理屈でなく、消費税導入後の歴史的事実が明瞭にそれを物語っている。

1 件のコメント:

  1.  TPPは農業問題であるかのような誤った報道が気になります。皆保険も、医療も、教育も、食の安全も・・・そして労働のルールも、TPPは本当に国を丸ごと売り渡す売国の売買契約です。

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