2013年7月4日木曜日

蒲黄(ほおう)

 
  平城宮跡に蒲の穂が顔を出し始めた。
  見てのとおり、蒲穂子(かまぼこ)=竹輪蒲鉾の語源であることを理屈抜きで納得する。。
  この後、穂は綿のように変化する。
  大黒様の歌に言う「蒲の穂絮(ほわた)にくるまれば」である。
  余談であるが、因幡の国には白兎神社も白兎海岸もある。

  ・・・だから、こういう神話の授業を一切受けてこなかった私は、神話の内容が「白兎(しろうさぎ)が穂絮(ほわた)に包まった」ということだと信じていた。
  ところが、リタイア後、暇にあかして古事記を読むと、その字は「素菟」であり「蒲黄(ほおう)」で、あの歌とは微妙に異なっていることが判った。
  「素」が素顔の素だとしたら「素菟」は皮をむかれた兔かもしれない。その昔、白毛の兔は日本には居なかったという説もある。
  「蒲黄」は蒲の穂絮ではなく、その上にヒューッと出ている雄花の花粉を粉にしたもので、明らかにこれは穂絮ではない。
  「蒲黄」が止血やスリ傷の薬であるとは、道教関係の医薬書である梁の「神農本草経」や唐の「備急千金要方」にある。現代でも漢方薬として認められている。
 古事記や、日本の古代の思想に道教が大きな影響を与えていることは、明治維新政府が絶対に認めたくないと非常に嫌ったことだった。神国ニッポンの神話や天皇制が中国の道教に基づいていたなんて・・・。
 そうか、大黒様の歌も単なる勘違いだけではなかったのか。
 自民党改憲案はこんな時代の再来を予想させないだろうか。
 私だけかもしれないが、「白兎(しろうさぎ)が穂絮(ほわた)」のように・・・・、実は、私たちは結構情報を知っているようで知らされていない。
 「みんなが期待すれば景気はよくなる」という、こんな低レベルの理屈に高い支持が集まっているのも同じことではないだろうか。

 今回の参議院選挙からブログ等で選挙の主張、応援、依頼等をすることが解禁された。
 読者の皆さん、コメント欄を活用して良質の情報交換を行いませんか。
 マスメディアに対抗した良質のソーシャルメディアの構築のために試行錯誤をしてみませんか。

6 件のコメント:

  1.  「実は、情報はあまり知らされていない」と書きましたが、巷には情報はあふれています。何を言いたいかと言いますと、選挙になると各党は「いいこと」を言います。マスコミはそれを報道します。そして選挙が済んだら、正反対のことをしてもマスコミは批判しません。民主も、自民も、公明も、維新もそうでした。
     そういう状況を「情報は知らされていない」と言いたいのです。
     だったらどうするか。過去の事実を検証することです。例えば、「身を切る」だとか「既得権益の打破」だとかの言葉が聞こえてきます。だったら、共産党のように政党助成金を拒否すべきです。政党助成金を受け取りながらそんなことを言うのは嘘つきです。勇ましい「みんな」も「維新」もそうだと思います。
     ウサギは穂綿にくるまったのでなく、穂黄を塗ったのです。「常識」を疑わなければ真実は見えないように思います。

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  2. ソ連や戦前の日本で盛んだったように、検閲というのは情報を外に出さない権力の手段だと思いますが、今は検閲ではなく、社会に出て行った情報がコントロールできれば、権力にとって都合の悪い真実がかなりオープンになってもOKという時代に変わったのでしょう。「王様の耳はロバの耳」と言うのを恐れたのは昔の話、よくも悪くも真実が大量のごみのような情報に埋もれる時代です。権力側もその点を踏まえて作戦を練っていますから、対抗するには知恵を絞らねばなりません。

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  3.  mykazekさんのおっしゃる通り、巧妙な情報操作の時代ですね。お笑い芸人家族の生活保護問題で、まるで福祉行政が無駄で不公平であるかのようなキャンペーンが張られました。
     維新も自民党も特定のメディアに取材拒否等の圧力をかけたり、ツイッター等で特定の記者を血祭りにあげるような攻撃をしました。
     自民党が教科書出版業者を呼び寄せたのもほんとうは怖ろしい圧力でしょう。
     テレビが「父親は誰か」的な私生活のぞき見みたいな話題を大提供しているときは、ほんとうは大切な情報を為政者が隠したいときですね。

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  4. 数年前、徳之島に米軍基地移設の話が降ってわいた時、島ぐるみで集会を開いて反対の意思をこれ以上はないくらい明確に示し、衝撃を与えました。ところが、島内では圧倒的な少数に過ぎない「移設賛成派」なるものが取り上げられ、1週間ほどの間に、ニュースの世界では、反対の意思が薄められていきました。それに対して伊仙町の大久保町長は、まったく事実と異なるものが伝わっていると憤りを示しましたが、これぞ、情報のコントロールであると思います。事実を薄めようとする者に対しては事実の重みを示し続けることが必要ですね。

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  5.  テレビ業界では、自動車メーカーがスポンサーのドラマでは自動車事故はご法度、酒造メーカーがスポンサーのときはアルコール依存はご法度というのは常識ですね。
     違う角度から言いますと、テレビ業界ほど、偽装請負、違法派遣、労働法軽視の業界はないでしょうから、本気で非正規雇用、不安定雇用を改善させる報道姿勢はあてにできないと思います。
     だとすると、ジャーナリズムを正す主張と同時に、ミニコミやソーシャールネットの場で発言し続けることが大事でしょう。「ネットは苦手や」などと言ってられないと思います。

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