2018年5月30日水曜日

妻よ薔薇のように

   題名からして昭和10年成瀬巳喜男作品『妻よ薔薇のやうに』へのオマージュだと想像できるが、映画作品に疎い私にはその深いつながりが判らない。

 家事労働の正当な評価というか主婦・・もっと言えば女性の人間としての正当な評価がテーマであるが、だとすれば、与謝野晶子、平塚らいてうの頃から指摘されてきたことで目新しくもない。

 しかし今でもなお「女は子どもを3人産め」と国会議員が発言し、ニュースを得たいと思う弱い立場に付け込んでセクハラを行う高級官僚がいる、それをかばう大臣がいる。
 そういう男社会の典型のような大会社のそれなりのポストの夫(西村まさ彦)の妻(夏川結衣)が主婦を辞めさせていただくとなったので家族は大混乱。

 井上ひさしではないが「むずかしいことをやさしく。やさしいことをふかく。ふかいことをおもしろく」提起した山田洋次喜劇はさすがだ。

 派生的展開部分であるが、祖母(吉行和子)がその夫(橋爪功)に「死んだあとぐらい自由にさせてよ」と言って同じ墓に入ることを拒否するワンシーンも実は広い共感を得ていないだろうか。
 時代劇などを見ていると、武将とは別に夫人は夫人で独立した墓石を建てている。
 夫婦別姓などの論議でよく「伝統だ」という意見が出るが、女性の地位の低下はけっこう新しいテーマであったりしないか。

1 件のコメント:

  1.  早い話が「女三界に家無し」というテーマだと思う。わが妻も狭い家屋で長い間私の母と同居していた。今は施設ではあるが妻の実母の介護をしている。自然の成り行きとしてそれらが済んだころには介護される時代になるだろう。『幸せな家族』は実際には難しい問題だ。この映画はいろんなことを考えさせられる。

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