3月5日の朝日歌壇から
佐佐木幸綱選
きさらぎの十日夕刊一面で和服に笑ふ石牟礼道子 (東京都)荒井整
馬場あき子選
不知火の海は水銀の毒に泣き石牟礼道子を喪いて哭く (三鷹市)山室咲子
苦海浄土の初版は1969年(昭和44年)1月。早々に購入して読みふけったのはおよそ半世紀前となる。
ここ数年、企業や官庁の偽装や改竄が目に余る。
人命にかかわる事柄が無数にある。
「この国はいつからこんな国になったんだ」と怒りたいが、それは苦海浄土のときからそうであった。辛い現実だ。
そしたらお前は職業人であった全時代を通していささかも心に恥じるところはなかったかと問われると、残念ながら胸をはって抗弁できない。
労働者は個人=市民として使用者と対等の立場にない。
この大事実が労働法の存する大常識なのである。
ここのところを理解できていない「働き方改革」は有害である。
真理は実のところ青臭いものなのだろう。
青臭い良心を鼻で笑う人間を信じてはならない。
だから一個人として良心を守りたいならば、労働者は団結しなければならない。
労働組合は使用者の介入を排除しなければならない。
こういう民主主義の基礎のようなことを大きな声で確認し合うことが重要になっているように思う。
アベ政治を許さない!との金子兜太氏の墨書は、人間の尊厳を守ろうという言葉と読み替えたい。
スマホのアプリ「NHKらじお らじるらじる」で過去の番組が聴けるので、昼間に「ラジオ深夜便」を聴くことがある。
先日は金子兜太氏のインタビューの再放送があった。
氏がトラック島で体験した戦争の事実は文字や言葉を超える悲惨なものだったということが息遣いの間から伝わってきた。
石牟礼道子、金子兜太ら先人の血の叫びを受け継ぎ次世代に継承したいものだ。
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