2017年10月19日木曜日

北風が吹く

   この間から急に寒くなり夜中に布団の中で突然震えたことがある。
 気の早い冬将軍が今年は急いでやってきた。こんなことは何年ぶりのことだろう。
 歳時記(もちろん冬)をめくってみるとやっぱりというか、北風という季語に明るい句は見当たらない。
 近くに、かかる日の不祝儀一つ北しぶき 辻田克巳 という重い句が載っていた。

 先日来、メディアが選挙の予想を流しているが、近頃の天気や先の句に似た記事が多いのが気にかかる。
 ところで、野党のモリカケ疑惑追求に対して盛んに「印象操作だ」と繰り返した安倍首相(自民党総裁)が選挙第一声に選んだのは意外にもフクシマの田圃だった。
 彼の後ろには青々とした穂波が揺れ、動員された自民党員しか入れない場所での異例の第一声だった。「印象操作」とは誰のことかとお返ししたい気になった。

 しかも、フクシマでの第一声であったにも拘らず、原発事故の被害や被災者の苦労には一言も、ほんとうに一言も触れなかったのだから、フクシマという地名と青い稲穂はただの「だし(印象)に使われた」だけだった。
 「だしに使う」というと、首相や自民党が多用しているフレーズは「北朝鮮の危機」である。「危機が迫っているから強い?政府を支持しろ」と・・・。

 史実をめくると、ナチスドイツの国家元帥ヘルマン・ゲーリングはニュルンベルク裁判でこう述べた。
 「国民は常に指導者たちの意のままになるものだ。簡単なことだ。自分達が外国から攻撃されていると説明するだけでいい。そして、平和主義者については、彼らは愛国心がなく国家を危険に曝す人々だと公然と非難すればいいだけのことだ」と。
 「憲法改正はナチスに学んだらどうかね」と言った副総理同様、安倍自民党の手法がファシズムのそれであることは明らかだ。

 韓国事情に詳しい姜尚中氏の文に、韓国の右派政党にも日本の自民党同様、北の脅威を煽って己の大言壮語に国民の支持を引き付けようとする同様の傾向があるとの指摘があった。
 だから彼らは金正恩が暴発する度に「北風が吹いた」と喜ぶのだと。
 先日来の嫌な北風に震えながら、「北風が吹いた」と喜ぶ日本の与党側政党の品性の卑しさに私は歯噛みしている。

    豊穣の籾燻す香や秋の暮

1 件のコメント:

  1.  「北風が吹いた」と喜ぶ人たちは、いわゆる無党派層が棄権するのを喜びます。
     そんな人々に、今回は「台風が来た」と笑わせたくありません。
     今日は期日前投票所が大混雑と報じられています。嫌になって帰られた皆さんは明日是非とも投票をお願いします。

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