10月5日の『ホンネというニヒリズム』という記事で、主として内田樹氏が『大阪の「生活感覚ですべて切り捨てるという批評性」の良質なかたちが司馬遼太郎や田辺聖子で、その劣化したかたちが維新の反知性主義だ』という指摘には思わず肯いたが、その維新の反知性主義に結構広い支持が集まっているのはフェイクニュース(虚偽の情報)の力が大きい。
例えば9月に行われた堺市長選挙で維新が配布したニュースでは、「堺市の不満」を聞いたアンケートで不満が多かったとか、大阪府33市中9番目に安い水道料を高いと言ったり、大阪市と比較した財政ではメモリ幅が4倍も違う的違いのグラフを大きく載せたりした。ちなみに自治体財政の健全性の目安である実質公債費比率では、堺市は全国20政令指定都市中第4位の健全さに比べ大阪市は8位、橋下、松井と続いた大阪府政はついには起債許可団体に転落している。
こんな詐欺師同然の手法を駆使する維新が結構な支持を集めている。
イギリスのEU脱退の国民投票でもフェイクニュースが大きな影響を与えたと言われている。
思うに、善良な市民が騙されるには訳があると思う。
例えば家庭電化製品が壊れた場合、50年前までなら理科の好きな子供なら日本橋に行って部品を買ってきて修繕ができた。その前提として、おおよその仕組みが理解できていた。
しかし今では、消費者がそこまで考える(ブラックボックスの中が理解できる)余地はなく、ただマニュアルに従って対応するのが「正しい生活態度」ということになる。
物事の本質まで検証して理解しようとする生活態度は「変人」であり、指示されたマニュアルどおりに対応できるのが「現代人」となる。
さて、落ち葉や落果の季節が始まった。
わが家のエゴノキの周辺は、野鳥の食事量をはるかに超えるエゴの実(種)が散らばっている。
孫の夏ちゃんが来たときに「昔はこの実で洗濯してたらしいで」と教えながら、ふと、フェイクニュースではないが、『こんな、本で読んだだけの知識を軽い言葉で教えていいのか!』『それも「らしいで」という言い方を聴いて孫が感動するはずもないだろうに!』と、自分でしゃべりながら自己嫌悪に似た反省をした。
で、やってみようか!ということになり、とりあえず一掴みの実で手を洗ってみた。
結果は、私も夏ちゃんも立派に泡立って、エゴノキがシャボンの木であることを(この歳になって初めて)納得した。
夏ちゃんも「エゴノキがシャボンの木」であることを忘れることはないだろう。
秋澄んでエゴの実集め手を洗ひ
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