2014年5月12日月曜日

原生林の伊達男


  世界遺産のコアゾーン春日大社から北に向かうと水谷川を渡り、同じく世界遺産のコアゾーン春日山原生林の帯があり、そしてバッファゾーンの若草山となる。その先はまたコアゾーンの二月堂になる。
 この若草山の南の端の木々を伐採してモノレールを作ろうとする計画がある。
 世界遺産の歴史的景観を損ない、貴重な自然環境を破壊するとして、多くの人々がこの計画に反対しているが、その反対行動の一環としてのイベントが5月11日(日)に若草山で開かれたので参加した。
 奈良県知事の主張は当初は「身体障碍者にも眺望を見せてあげたい」だったが、身体障碍者団体からも「私たちだって歴史的景観や自然環境は守りたい」「観光政策の隠れ蓑に障碍者を使ってほしくない」「眺望なら現存している頂上までの裏側のドライブウェイにシャトルバスを出してほしい」というような真っ当な主張にその説を半分引っ込め、次には「賑わいづくり」「観光客・・」と言い換えてきている。
 ところが、5月11日に若草山に行って驚いた。いくらGWあけだからと言って、こんな行楽シーズンの日曜日に麓の土産物屋が何件も店を閉じたままなのである。
 率直に言って、なら町方面の努力に比べて、ここの土産物店の努力は劣っている。
 そうしておいて、モノレールという公共事業で甘い汁が吸えないかというのだろう。言語道断だと思う。
 
 イベントの後半は何種類かの行動に分かれたが、私は谷幸三先生の案内で若草山一重目頂上まで登り、植物や昆虫の状況を学ぶ行動に参加した。
 登山道は春日山原生林に沿った道で、原生林の方向から盛んにキビタキの「泣き声」が聞こえてきた。
 さて、キビタキは夏山一の伊達男であり声楽家だと思う。
 それほどの主役級であるにもかかわらず、時々「ちょっとこ~い ちょっとこ~い」とコジュケイの物真似のような鳴き方をするのも『大物俳優のテンネンのトーク』のようにずっこける。
 声は大きいのになかなか姿を現さない。ほんの一瞬現れたのを撮影できただけで、今日の行動は全部満足だった。

2 件のコメント:

  1. たまたま見ていたNHKの番組、「えぇトコ」で奈良公園から若草山のガイドがあり、山頂に古墳がある事を知りました。それと「春日原生林」だと思い込んでいたのが「春日原始林」だったという事も初めて知りました。でも、モノレールの話は出てきませんでした。

    返信削除
  2.  世界遺産の名前は春日山原始林でしょうか。
     さて、若草山から周囲を見渡すと、御蓋山はナギの林、高円山は杉林、春日山は椎木というように偏っていて、何れも不自然な山でした。
     その原始林も鹿害で若木が全く育っておらず、現在ある大木が寿命を終えたなら禿山になるそうです。(正確には馬酔木とナンキンハゼの山になる。)
     望ましい生態系の維持というのも非常に難しいもののようです。
     この行動の記事が今朝の赤旗に載っていましたが、その写真は若草山頂上まで登って鶯塚古墳を学ぶグループの写真です。

    返信削除