2014年5月17日土曜日

憲法危篤

首相のパネル中央部分
  首相の身内を集めた『私的な』懇談会が「集団的自衛権は昔から認められていた」と現代史を否定する嘘を報告し、受取った首相が即刻「憲法解釈を変える」と宣言した。
 これが民主主義の基本中の基本である立憲主義を蹂躙するものであることは明白で、この国は途上国の独裁国家と同レベルのものになろうとしているし、戦前の轍を再び歩もうとしている。

ちくま文庫「神国日本のトンデモ決戦生活」より
  海外にいる者も含めて日本国民の安全を願う気持ちは全国民共通しているだろうが、この立憲主義の根本を覆した暴挙を不問に付して「自衛権」を云々する土俵に上がることは良識ある者の採るべき姿ではないと思う。
 過去の記事にも書いたことだが、1985年5月8日、第2次世界大戦40周年にあたって西ドイツ国会でヴァイツゼッカー大統領は「過去に目を閉ざす者は結局のところ現在にも盲目となります」と演説したことを想起するときだと思う。視力障害の方には不愉快な引用かもしれないが主旨がそこにないことは解っていただけるだろう。
 さて、報道ステーションでは「あのパネルは首相が直々に書き直しを命じて出来た作品」だと解説していたが、私はそこのところに妙に納得した。
 というのは、過去に「聖母子像」のアイコンが記念絵葉書その他のグッズとして大量に頒布された歴史があるからで、その時代とあのパネルの中央の絵がダブって見えたからである。
 ズバリ靖国の聖母子像である。
 このパネルといい、首相の感情的な話しぶりとそのロジックといい、私は「軍事だとか法制度を情緒的に語る者こそ最も危険だ」と背筋が寒くなった。
 NGO「イラクの子どもを救う会」代表、フリージャーナリスト西谷文和氏は、集団的自衛権の名の下に自衛隊が中東に介入した場合は必ず「日本も都市を分担せよ」となる。最近の路肩爆弾は戦車も破壊するしそれを携帯で操作する。自爆テロもある。そういう恐怖の下で検問所で止まらない車があれば「悪気のない見落とし」も含めて発砲して殺してしまう。そして日本国自衛隊が地元住民からも恨まれ死者が出る。・・・のが確実な近未来だと言っている。
 私には、首相の巧言よりもこの方がよほど真実だと思う。
 過去を直視すれば、現在は「戦前」であろう。
 政党支持や信条の違いを超えて良識ある市民は声をあげて欲しい。
  立憲主義を守れ、参戦反対、と。

2 件のコメント:

  1.  首相の改憲は非常に世論形成を意識したものに見えましたが、その夜、高級すし店で会食した相手は、時事の解説委員、NHKの解説委員、毎日の特別編集委員、朝日の編集委員、読売の論説委員長、日テレの報道局長と報じられています。
     加藤紘一氏の論ではありませんが、国民は歴史を学ばなければ大変なことになりそうです。

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  2. 集団的自衛権で「自衛隊が来るほうが危険」アフガニスタンで人道支援をしているペシャワール会の中村哲さん。16日、西日本新聞。 pic.twitter.com/ezJ4lbMyJS
    《アフガニスタン人は、多くの命を奪った米国を憎んでいます。
    日本が米国に加担することになれば、私はここで、命を失いかねません。
    安倍首相は記者会見で、
    「(現状では)海外で活動するボランティアが襲われても、自衛隊は彼らを救うことはできない」と言ったそうですが、全く逆です。
    命を守るどころか、かえって危険です。
    私は逃げます。》

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