主に列島の東西で、囲炉裏文化圏と掘り炬燵文化圏に分かれていると書いてある本が少なくない.
しかし、関西の中の関西である奈良県の吉野地方にも囲炉裏があるから、これについては、単純にはよく言われる列島の東西の文化の違いではなさそうだ。
いずれにしても、関西の平野部に囲炉裏は少ないのは明らかであったから、私にはまったく馴染みが薄かった。
だから、ほんとうに小さい頃は「里の秋」を聞いて、『囲炉裏というのは栗の実に似た形をしているのだ』と思っていた。♪栗の実似てます囲炉裏端だと。
先日、老人施設の歌の行事のお手伝いをした。
私の狭い経験から見ると、男性の入居者の多くは脳梗塞・脳出血の後遺障害のある方が少なくないように思う。
そんな先輩方と、最後は『みんなで歌おう』になって、その中に『里の秋』が入っていた。
私は、左右の方々に歌集を配り、その部分を指で示しながら誘うように歌を歌った。
言葉の不自由な男性にも心の中で歌ってもらおうと、顔を見ながら歌ったが、その先輩が歌詞を追いながらくしゃくしゃに涙ぐまれたので、私は声が詰まって歌えなくなった。
きっと、心の中で『里の秋』(ああ母さんとただ二人~)を歌いながら幼い日を回想されたことだろう。
さて、私の知っている老人施設の入居者の比率で言えば圧倒的に女性である。男性は入居以前に浮世をリタイヤされているのだろう。平均寿命の性差は歴然だ。
だからかもしれないが、この日一番声の出ていたのは『ここに幸あり』だった。
どういうわけか老人施設を訪れるボランティアの方々は『故郷』だとか『里の秋』だとかを歌いたがる。「おばあちゃん! お父さんやお母さんが懐かしいねえ」と言わんばかりで、私はあまり好きではない。私が介護される未来を想像してみてそう思うのである。ただ、感想文などでは「故郷や里の秋がよかった」という家族の方(女性)が多い。
このように、私の意見は少数意見でみんなに笑われているが、「老人施設で一番の音楽療法は恋の歌である!」と本気で信じている。ご同輩には共感していただけるだろう。
ただ冷静に考えてみると、これはお婆さんが素直なだけであって、爺さんというのは、ボロボロになってもエエカッコをしたがるというだけのことかもしれない。
囲炉裏と炬燵と書いたが、本によく書いてあるのは囲炉裏と竈だった。エエカゲンな記憶で記事を書いている。
返信削除しかし、竈=へっついさんも東日本に珍しくなく、多くの文化が見事に東西で異なっていることに重ねてこれを言うのはちょっと疑問を感じている。
西日本で囲炉裏のあった方、東日本で昔から囲炉裏がなく竈であった方のご意見が戴けたらありがたいと思っています。