2017年11月12日日曜日

アルデンテ

 「富士吉田のうどんは紐みたいに硬いらしい」と、ケンミンショーを観た妻から教えてもらった。
 いつも通りテレビの中のメンバーは「美味い」「美味しい」を連発したようだが、伝聞のせいか私には一向に美味しそうなイメージが湧いてこなかった。

 もうずーっと昔のことだが、大阪に讃岐うどんをバーンと打ち出したその名も「四國」といううどん屋が開店した。
 例によってマスコミは「これぞほんまもんのうどん」と騒ぎ立て、私の周りでも「うどんはやっぱり四國や」という人が続出した。
 しかし正直に言って私はあまり美味しいとは思わなかった。
 伸びたうどんみたいなのは論外だが、私は〝あえて言えば”腰などない大阪のうどんが好きだ。(あくまでも個人の感想です)
 その讃岐のうどんをさらに何倍も太く硬くしたのが「吉田のうどん」だというから、私のイメージでは「どうも」と言いたくなる。

 奈良にミシュランの星をかざした有名なイタリアンがあり、軽いランチなどのためにはそのカフェ部門の店がある。
 そこのパスタも、お客に「どうしましょう」と尋ねるまでもなく結構なアルデンテだった。
 「この硬さの味が判らん奴は田舎もんだ」と言ってるように私は僻んだ。
 正直、美味しいとは思わなかった。(あくまでも個人の感想です)
 ヘナヘナが良いと言っているのではないが、ものごとには程度というものがあろう。
 味の好みなど個人の自由だからそれを美味しいという人がいても全く問題なく、何も私の意見に賛同してくれというのではないが、「あんなに硬いのがほんとうに美味しいの」という素直な感想も言っておきたい。

 テレビの情報番組なるものではやたらに「甘い」を連発し、「美味い」「美味しい」を繰り返すが、何で生の野菜が甘いのか。甘いと美味いは違う概念ではないのか。
 そういえば視聴者はてっきり「情報」だと思って観ているが、それは実は「PR枠」というのがいっぱいあるらしい。
 そして庶民は、情報=真実だと刷り込まれ「自分だけ取り残されたくない」という欲求というか恐怖を煽られているのである。
 アルデンテの話で済んでいるだけならいいのだが、選挙や国政の問題でも同じベクトルが働いているように見えるのは考え過ぎだろうか。ほんとうはこのことを言いたい。

 「これは美味しい」というテレビの扇動に乗ってしまうと、選挙でも「勝ち馬に乗らなければ」という誘導に巻き込まれないだろうか。味も政治も自分自身で判断するのが大事だと言うのは引かれ者の小唄だろうか。
 BSプレミアムに「こころ旅」という番組がある。唯一主人公の火野正平さんがナポリタンやオムライスが大好きだというのには妙に共鳴している。

    一人っ子勝つまでやめない指相撲
    孫の夏ちゃんは年長さんだ。

2 件のコメント:

  1.  「あるある」で云うなら「アルデンテにもほどがある!」的な有名なパスタ店や、大阪「浪花そば」店で汁(ツユ)をちょこっとしか浸けず、もみないのに江戸っ子ぶって食べている奴、などなど。
     とはいえ、「やっぱり俺は大阪の腰のないうどんが好きや」と東京嫌いの大阪自慢を言い募るつもりもありません。それぞれ理由があるからです、関東の醤油の風味が強いそばつゆに比べ、薄口醤油で出汁の味が強い関西風のそばつゆはどっぷりつけて食べるものです。とこれは池波先生の受け売りですが。

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  2.  東京コンプレックスの裏返しみたいに大阪をデフォルメするのは好きではありません。
     しかし嫌なのは、マスコミが「標準」を誘導し、それに対して「自分だけ取り残されたくない」という恐怖に駆られて世論のようなものがつくられていくことです。

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