2017年11月26日日曜日

怖ろしい病気の大流行

   年末が近づいてきて私の周辺では怖ろしい病気が大流行している。
 ノロウイルス! インフルエンザ! それもあるだろうが・・・それ以上の怖ろしい病気がパンデミックを起こしている。

 その病気のために、わが町内の餅つき大会も中止になったし、近所の自治会も同様だ。
 あちらでもこちらでも・・・。
 聴くと、あちこちでこの病気が大流行しているようだ。
 その病気とは、ノロウイルス、インフルエンザでもない「責任逃れ病」でないかと私は想像している。
 写真の本の著者、榎本博明氏に言わせると「過剰反応病」である。

 とりあえずの大元は保健所らしい。
 「食中毒でも起こったら大変だから」と、各種団体の問い合わせに対して極めて嫌な顔をして「指導」していると聴く。(※私が実際に聞いたわけではないが、伝聞ではそうらしい)
 保健所がそんなものだから、計画していた団体の担当者が「これでは責任は負いかねる」と尻込みするのも判らない訳ではない。(※前同様)
 ただ穿って見れば、だいたいが言外に「保健所に届けたのに事故が起きたら、そのときは保健所に責任取ってもらいますよ」的なビーム光線を出しながら「相談」するものだから、底意を嗅ぎ取った保健所がそんな罠にかからないよう慎重になるのも想像がつく。どっちもどっちだと私は思う。(※これは私がそう思うということ)

 その結果、「保健所のご指導ご意見」という錦の御旗を押し頂いて、訳知り顔で「私は食品を扱っているが食品は本来的には資格あるプロがするものだ」とか、ありとあらゆる危険性?を披露して、私に言わせると「自分が努力しない正当な理由」をこれでもかと開陳する。それによく似たことは仕事の上でも新しいプロジェクトをスタートさせるときなどにしばしば経験した。(※前同様)

 確かに、原発ではないが、根拠のない安全神話に科学のメスを入れること、安全第一の標語を内容的に徹底するという考えに異議はない。
 ただ私は、安全衛生の美名の裏に、現代社会の悪弊である「責任逃れ病」「過剰反応病」が隠れているように思って仕方がない。
 それには過剰反応で飯を食っているマスコミにも大いに責任がある。
 マスコミのおかげで、社会のあちこちで、信念をもって発言するのでなく、とりあえず誤っておく、とりあえず止めておく・・を是とする風潮があるのは正しいことだろうか。

 そも、餅つきは平安時代前から営々と営まれてきたものだ。
 さらに現代ではマスクもゴム手袋もある。その他の消毒も注意の徹底もやろうと思えばクリアできると私は思う。
 冷静に考えれば常識と気配りで対応できる課題である。
 それでも心配だという方に問いたいが、そうであれば、資格のない主婦・主夫が家庭の食事を作るのも辞めるべきではないだろうか。

 実際、小学校の田植え体験に「泥水は不衛生だ」「小さい子に重労働だ」というクレームが起き、結果として学校が中止したというケースもある。クレーマーもクレーマーだが学校も学校だ。これと同じ構図ではないだろうか。

 榎本氏に言わせれば、常識外のクレームであっても、クレーマー本人は「正義の主張」をしたと思っているところが度し難い。
 この鬱陶しい過剰反応社会の悪夢から脱するためには、常識を再構築する必要があると心底思う。

 餅つきでいえば、要するに担当者全体への徹底という煩わしい仕事はしたくない。
 針の穴ほどの危険性を克服する努力をしたくないということを、「そんなリスクを負えない」というような大層な言葉に置き換えて自分の努力しないことを合理化・正当化しているのだと私は思う。(※前同様)
 さらに、「あそこの団体も中止した」というような恐怖の同調圧力が襲ってきているが、こういう同調圧力は理屈を超えて人を縛っている。しかし、そもそも「みんながそうしているらしい」ということは、それが〝正しいこと”の証明とは何の関係もない

 さて、私は老人ホーム家族会の役員をしている。
 12月の餅つき大会を前にして、やはりこの世間の大病の影響がないと言えば嘘になるが、冷静に真面目に議論した結果、12月の餅つき大会は昨年よりも規模を拡大して実行することを決定した。
 結果責任は全面的に私が取るつもりでいるがそんな大層なことではない。亀の甲より年の劫だと自分を信じている。
 その責任感をひしひしと感じるとともに、日本社会に蔓延しているこの不思議な大病に立ち向かうということに実に愉快な気持ちになっている。

 【※ この記事は、ここ数年私が見聞きしてきた事柄をまとめて書いたものなので、各種団体の誰それがどう語ったかということは表していない。過剰反応社会を考える私の感想を解りやすくするために想像される言葉を記述したものである。故に言葉尻に過剰反応してほしくない。批判があれば本筋でご批判を乞う!】

2 件のコメント:

  1.  記事の本筋とは少し離れるが、企業等の上司が成果?を求めてけっこう無理な課題を押し付けるのに、労働者の側がいろいろ方針の不当性を指摘する場面が多々あり、(それは極めて正しいことなのだが)、その延長線上で、何事につけ後ろ向きにクレームをつけるのが正義の主張であるかのような誤解はないか。
     私は「過剰反応」の精神は社会のあらゆる場所で存在しているように思う。

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  2.  今日、付き合いのある大きな神社から「師走大祓」の案内があったが、その中に「平成30年度より1月15日の御鏡開きは中止します」との告知があった。理由は一切書いていないから判らないが、歳神様が宿ると言われる御鏡を共食する文化を神社が取りやめてどうするという気になっている。想像される「過剰反応病」に神様が負けてどうする。勘違いであってほしいが、この国は幾らかの神社も含めて大いに病んでいるように思う。

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