2017年11月18日土曜日

紋付鳥

♀(雀と姉妹?)
   この小鳥は、私としては冬鳥の代表だと思う。
 寒風の向こうから ヒーヒーヒー カチカチカチ と聞こえてくると如何にもと晩秋を感じる。
 鳴いているときには尾っぽと頭を上下させる

 尉鶲(ジョウビタキ)の別名には、火焚鳥(ひたきどり)、紋鶲(もんびたき)、団子背負い(だんごしょい)、馬鹿っちょというのがある。
 そもそも鶲(ひたき)とはその鳴き声の一部であるカチカチカチが火打石で火を焚く際の音に由来しているから火焚鳥には何の疑問もない。
 紋鶲の紋は背中の白い模様が紋付の紋で文句ない。
 団子はこの白い模様を「団子を背負っている」と見たのだろう。
 よく判らないのは馬鹿っちょだが、結構人懐っこく逃げないから馬鹿者だと書いてある文章があった。
 ただ、引っ付き虫であるオナモミを馬鹿っちょというという方言もあったから、背中に引っ付き虫が二つ引っ付いていると見たのかもしれない。

 Pet Pediaで知ったところ瀬戸内地方の昔話に次のようなものがあった。そこでは紋鶲ではなく紋付鳥(モンツキドリ)と呼ばれていた。

 昔、スズメとモンツキドリは姉妹だった。 
 ある日、母親が重病を患ったと知らせがあった。
 この時、スズメはお歯黒(歯を黒く染める化粧)を塗っていたが、知らせを聞くとすぐさま中断し母の元に向かい、そのためスズメは無事、母を看取ることができた。
 スズメの口元が黒いのはこのときのお歯黒の痕である。

 一方のモンツキドリは、知らせを聞くと、化粧をしたり紋付きを着たりと、身支度に時間を費やしたあと母の元へ向かったので、身支度に時間をかけすぎたモンツキドリは母の死に目に合うことができなかった。
 なので、モンツキドリに激怒した父親は勘当を言い渡し、勘当されたモンツキドリは、今でも頭を下げて父親に謝り続けている。

 いやはや、先人の想像力には舌を巻く。

    寒風に居住まいただすや紋鶲

2 件のコメント:

  1. 楽しい昔話を有難う御座います。このような話を読むとホットします。

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  2.  写真を撮ったのがジョウビタキだったので本文に書いた昔話を紹介しましたが、柳田國男が津軽で採取した昔話では、ジョウビタキがキツツキになっています。そしてキツツキの方が昔話の多数派の様です。
     ジョウビタキが紋付を着ていて遅れたところがキツツキは「紅を付け白粉を付け」おめかしをしていて遅れたことになっています。これはアカゲラの特徴をよく捉えています。
     それで結果として、「雀は穀物を十分食べることができる」ようになったのに対し、キツツキは、「一日中木の皮を叩いてやっと3匹の虫しか食べることができず、夜になると嘴が病めるでやと泣くのだ」そうです。
     この話を孫にしてやりたいが、この辺りにはアカゲラはいないので、やはりジョウビタキで話そうかと思っています。

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