9月4日の「読むほどに古代は遠ざかる」に書いた「纒向発見と邪馬台国の全貌」の第2弾である「騎馬文化と古代のイノベーション」(KADOKAWA税別2,000円)を読んでから相当経つが全くブログ記事にまとめきれない。
内容が豊富すぎる。
時代は応神天皇からである。
古事記では父の仲哀天皇が死亡してから10か月後に神功皇后が産んだ子で、あまりに疑わしいからか古事記は「新羅征伐中に生まれそうになったが腹に石をつけて遅らせた」と言い訳のような記事を載せている。
住吉大社では「住吉の神が神功皇后と結ばれて応神が生まれた」といい、つまりは武内宿禰という論もある。
そういう細部は置いておいても、常識的に考えて、古事記は政権交代、新王権を示唆しているように見える。
そしてここからがこの本の内容になるのだが、これまで大和に限られていた宮(みや)が河内、摂津、和泉(併せて河内というが)に建設されたり、巨大な前方後円墳が河内(百舌鳥・古市)に造営された。
その古墳周辺には、これまでの威信財に代わって馬具や兵器が大量に埋納された。
それを河内王朝と呼ぶか呼ばないかは別にして、古代王朝の大転換があったことは誰も否定できない。
そういう大激動の時代を東北アジアと韓半島の政治文化と照らしながら多角的に論じたのがこの本である。
そんなすごいことをこのブログ記事で紹介など絶対にかなわないので、とにかく面白いので一読をお勧めするとしか書けない。
面白いといえば、この本の冒頭には江上波夫氏の「騎馬民族による征服説」が特別収録されている。
上野誠氏は、それは三つの点で不思議な学説だといって、第一に古代史でこれほど著名な学説はない。第二に提唱後70年経った今も再検討されるほど内容がある。第三に学説の一部に支持する学者はいるが学界において積極的支持者が皆無である・・・・と述べている。
それは、それだけのスケールと魅力があるからだと。
あとは本に譲るとして、古代の日本を語るとき、唐や隋や百済ばかりでなく、それ以前からの北東アジアの多くの政治文化が多くのルートで入ってきたことを精密な事実を積んで語られている。
現代社会を考える上でも非常に参考になる。
古代の朝貢復活させた大臣(おとど)あり
川柳のつもり。卑弥呼や倭の五王が東夷北狄と競って中華の国に朝貢したのは何時のことか。その時倭の王は並ぶ順番などで大いに争った。先日、就任もしていない皇帝にイの一番に朝貢した首相あり。歴史は喜劇として繰り返すとは誰かの言葉。
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