私が時々バードウォッチングに行くのは平城宮跡の北側の佐紀盾列(さきたたなみ)古墳群である。
初期ヤマト政権の王墓などと言われている。
4~5世紀のそれを想像すると、古墳築造当時は未曽有の環境破壊だっただろうが、それが、地球規模で環境破壊が進む現代では、この古墳が環境保護に果たしている割合は桁違いに大きい。このあたりの役柄の転換、諸行無常も可笑しい。
ところがその古墳群の一角に航空自衛隊奈良基地(航空自衛隊幹部候補生学校)がある。
そこが開設60周年とやらで6日にブルーインパルスのアクロバット飛行を行った。
宮城県松島基地から超音速でやってきた?
平城宮跡上空が主会場だというが、ジェット戦闘機であるから回転のために我が家の上まで飛んできた。
新聞記事で知っていたから驚かなかったが、知らなかったならロシアで大きな隕石が落ちたときに住民が「戦争だ!」「ミサイルだ!」と仰天したのがよくわかる。
音だけでも恐怖感を与えるに十分だ。
ムクドリなども見たことのない集団で右往左往している。
知らなかった病人がショック死していないかと本気で心配する。
義母のホームのスタッフの方が「沖縄では毎日がこうなんやろねえ」と溜息をついた。
沖縄の面積は日本国の1%未満だが米軍専用面積の74%が沖縄に押し付けられている。それも、戦後県民が強制収容されている間にブルトーザーで基地は造られた。
その上に、「交換」という名目で名護市辺野古に米軍新基地を造ろうとし、東村高江に米軍ヘリパッド(着陸帯)=正しくはオスプレイパッドを造ろうとしている。
翁長知事や住民が反対運動をするのは当然で、それを本土から機動隊を送り込んで弾圧している。
大阪府警の機動隊員は反対する住民に「土人」「シナ人」と暴言を吐き、松井大阪府知事は「ごくろうさん」といった。
沖縄県議会が抗議決議を採択したのは当然だ。
沖縄の喜劇の定番に臨終間際の話がある。親族の見守る中で病人が最後の力を振り絞って何かを言おうとする。みんなも一言も聞き漏らすまいと近づく。そこにジェット機の飛び立つ轟音がとどろき渡り、轟音が消えたときには病人は亡くなっていたという喜劇である。
こんな恐ろしい喜劇があるものかと思うのは本土の感覚で、沖縄県民は「あるある」と笑ってしまうのだという。
そこで、昨日の記事「戦争中の暮しの記録」である。
ブルーインパルスを見上げた子どもたちは「かっこいいなあ」と思っただろう。
ゲーム機の中の戦争もかっこいい。
少し斜めからの話では、将来に夢が抱けない青年には「戦争でも起こって世の中がガラガラポンとされた方がいい」という意見も増えている。
今年7月の参議院選挙比例区の朝日新聞の出口調査では、18,19歳の40%、20代の43%が自民党に投票した。
親でなければ祖父母こそ、知っている限りの戦争や戦後の話を若者たちに語らなばならない。
かっこいいブルーインパルスを見ながらつくづくそう思った。
伝えることは一言でもいい。「ほんとうの戦争は全くもってかっこいいものではないんだ」と。
「記録」にはこんな手記がある。母親が実家の老母のもとに疎開した。街に空襲のあったある翌日娘3人が逃げてきた。しかし老母の眉宇に浮かんだ苦衷の色。言葉にならない言葉に私はハッとした。娘たちも同じ思いであったらしく、翌朝、恐怖の街へ帰って行った。手記は「老母は決して鬼ではなかったが」と書かれていた。
臨終も爆笑にするウチナンチュ
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