2014年12月1日月曜日

Karoshi

  Karoshi (death from overwork) が日本発の国際語になってから四半世紀が経過して、やっとと言うかついにと言うか、この11月1日に過労死防止法が施行された。
 近頃は、広い意味での過労死には鬱病やそれらによる自殺も含むが、狭い意味では「脳・心臓疾患」の発病や死亡を指す。
 傷病名でいうと、【脳血管疾患】としては ●脳内出血(脳出血) ●くも膜下出血 ●脳梗塞 ●高血圧性脳症 があり、【虚血性心疾患等】としては、●心筋梗塞 ●狭心症 ●心停止(心臓性突然死を含む) ●解離性大動脈瘤 である。
 労災認定基準の基本的な考え方は、「脳・心臓疾患は、その発症の基礎となる動脈硬化、動脈瘤などの血管病変等が、主に加齢、食生活、生活環境等の日常生活による諸要因や遺伝等による要因により形成され、それが徐々に進行及び増悪して、あるとき突然に発症するものだが、しかし、仕事が特に過重であったために血管病変等が著しく増悪し、その結果、脳・心臓疾患が発症することがある。このような場合には、仕事がその発症に当たって、相対的に有力な原因となったものとして、労災補償の対象となる。」というものだ。
 この仕事が特に過重であったかどうかの評価に当たっては、『恒常的な長時間労働等の負荷が長期間にわたって作用した場合には「疲労の蓄積」が生じる』という観点から、●労働時間のほか、①不規則な勤務、②拘束時間の長い勤務、③出張の多い業務、④交替制勤務・深夜勤務、⑤作業環境(温度環境・騒音・時差)、⑥精神的緊張を伴う業務・・の負荷について十分検討することとなっている。
 そうして、疲労の蓄積をもたらす最も重要な要因と考えられる労働時間に着目すると、●発症前1か月間におおむね100時間又は発症前2か月間、発症前3か月間、発症前4か月間、発症前5か月間、発症前6か月間のいずれかの期間に、1カ月当たりおおむね80時間を超える時間外労働が認められる場合は、業務と発症との関連性が強いと評価される。
 これが俗にいう『過労死ライン』で、こういう時間外労働があったならば人間はバタバタと倒れるということを医学的に言っているわけではないが、こういう状況下で先の傷病を発症した場合にはおおむね労災と認定され、言い換えれば事業主の使用者責任が問われると、最高裁を含む司法の場でも定着しているのである。
  なお、月に80時間以下であっても、おおむね45時間を超えて時間外労働時間が長くなるほど、業務と発症の関連性が徐々に強まるとも評価される。そういうケースでは先にあげた①不規則な勤務~⑥等「労働時間以外の要因」が大いに考慮されることとなる。

 ところで、共産党の小池晃副委員長らが情報開示請求して発表したものを見ると、日本経団連や経済同友会の役員企業等が結んでいる三六(さぶろく)協定(1日8時間、週40時間を超える時間外労働協定)が、経団連会長の東レで月100時間、副会長の丸紅120、同JR東90、同王子135、同東芝130、同日立(3か月で400)、同日本電信電話150、経済同友会代表竹田薬品120、同次期代表三菱ケミカル150、副代表ウシオ電機130、規制改革会議議長代理みずほ90、竹中平蔵のパソナ(産業競争力会議)120・・時間であることに私は驚いた。
 順法精神の欠如した悪徳事業主並みの水準ではないか。
 そして、こういう面々が企業献金を行って自民党政治が動かされているわけで、企業・団体献金や政党助成金を受け取っていない共産党以外の与野党も五十歩百歩である。
 現に彼らは、残業代ゼロ制度、その特区構想、裁量労働制の緩和等々を策動し、民主的労働法制度を「岩盤規制」だと攻撃している。
 
 私たちの世代は、現役時代の多くの期間を経済成長下に過ごしてきたから、子や孫を大きな企業に就職させたら一安心という幻想が残っているが、前述のとおり、これらの企業で働くということは過労死予備軍に入ることである。
 子や孫が過労死や過労によるメンタル不調になってから労災認定を取り組むのはあまりに悲しい。
 子や孫が倒れる前に、倒れないために、今度の選挙では企業献金という一種の「買収工作」と無縁な共産党に投票をしてほしい。
 共産党は、残業時間の上限の法定化やインターバル(次の仕事までの休息時間)の法定化に取り組んでいる。

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