2013年9月27日金曜日

ものの始まり、みな堺

  私が堺市長選挙に注目している理由は、この選挙を通じて、ほんとうに「維新」が瓦解に向かうだろうと(期待を込めて)思うところにある。
 全国的には、先の都議会議員選挙と参議院議員選挙で「維新」の凋落は明らかになったが、それでも大阪選挙区では第一党である。侮ることはできない。
 他府県の皆さんにはそれ(大阪での第一党)がどうしても理解できないことのようだが、この状況を作り出した影の主人公が関西マスコミにあるのは間違いない。

  「維新」に投票した多くの人々は「維新」の政策など何も知らない。ただ知っているのはテレビで毎日お目にかかる能弁な橋下氏の画像から受けた印象だけである。
 たまには関西のテレビは橋下氏を適当に「イジル」のであるが、結局それも視聴者に彼を疑似「友人」のように思わせる親しみを植え付けていることにもなっている。
 メディアの中の意図的に橋下氏を推すグループ以外でも、「数字が取れる」故に頻繁に登場させるテレビ局の弱点は、闇の勢力と繋がった芸能人や霊感商法の占い師を多用してきた過去と同じである。 
 不況、就職難、非正規不安定雇用等で先の見えない視聴者の閉塞感には、このテレビ発の、彼の勇ましく口汚い「口撃」が心地よい側面を持っている。その「口撃」が決して本当の強者ではない弱者間の足の引っ張り合いであることが薄々解っていてもである。

 マスコミは橋下氏の広告塔を買って出ているだけでなく、大阪人をも誘導している。
 マスコミは大阪人を評して「本音で語ってバイタリティーがある。」と繰返し言う。
 それは「知性に欠けて礼儀知らずだ。」ということと同義語で、全国の視聴者はそれが解っていて嘲笑しているが、当の(少なくない)大阪人だけはそれを知らずに「褒められている」と誤解している。
 その誤解は、大阪の街頭インタビューでよく見る「政治なんて誰がやっても同じなんちゃうん。」という冷笑をはびこらせ、「何かやってくれそう」な強者にそれを期待する。
 下卑た声でそう繰り返すビデオだけが「大阪らしい」と選択されている。
 これを繰り返している限り大阪の品格はますます低下し、「品(ひん)より金や」と言いたい人々の期待も裏切って経済は沈滞するだろう。
 そして、政治への冷笑と英雄待望は、歴史の教えるところファシズムの土壌である。
 橋下氏と「維新」が大阪府や市で行ってきた、思想調査アンケート、教員と教育委員会攻撃、「ピース大阪」の展示内容への攻撃、職員労働組合への不当労働行為等々の数々は、それが遠い昔の歴史的教訓で済まないことを物語っている。

 繰り返しになるが、橋下維新を支えているのは政策ではなく橋下氏のマスコミ登場と、100万人を超えるフォロワーを持つ彼のツイッターの力である。それは「風」とか「世論」と呼ばれたりもしている。
 これを打ち破るのは、対抗する良識ある世論だろうし、堺ではそれがいま市民運動型の選挙運動になって盛り上がりつつあるように思っている。
  平日毎日堺市内27駅頭で配布されている「日刊堺はひとつ」(写真)には驚嘆して言葉もない。
 「ものの始まり、みな堺」は追憶のことわざではなく、現代民主主義の形容としてよみがえることだろう。
 ツイッターに関して言えば、「維新」の先行きに不安と危険を感じている市民側のネット上の発言はまだまだ多くないようだが、「パソコンは苦手だ」と誇らしげに語るのを止め、一人一人が「市民メディア」になれば、その力を併せれば、例えば10万人がそれぞれ20人のフォロワーを持てば200万人になるように世論が変わる時代を迎えている。キング牧師ではないけれど、夢は広がってゆく。

6 件のコメント:

  1.  ここまで橋下維新を跳梁させた要因の多くが、関西のマスコミの不正常な報道姿勢にあるとのご意見、全く同感です。とりわけ橋下氏を無批判に異常なほどメディアに登場させてきた報道姿勢は目に余るものがあります。
     竹山市長の優勢が伝えられる堺市長選は、そんな橋下維新の存在感を決定的に叩く絶好のチャンスであることは間違いありませんが、したたかな橋本氏のこと、残る2日間にメディアを利用した逆転の秘策を準備していないか、一抹の不安がないわけではありません。
     市民一人一人が、ツイッターなどネットを活用した市民メディアを活用して世論を変えていくとのご意見にも大賛成ですが、わたしのまわりにも「パソコンは苦手で」と自慢する仲間も多く、困っています。
     ともあれ残る1日の頑張りで、日曜日には歴史的な勝利の美酒を味わいたいものです。

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  2.  和道おっさん、応援コメントありがとうございます。
     私の身近な人々も、指示や動員や依頼を抜きに、「行けへんか」「いこいこ」という具合です。
     明日も頑張ります。

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  3. 長谷やんさんの関西マスコミに対する意見、全く同感です。関西マスコミ、特にテレビに言いたい。恥を知れと。橋下市長の慰安婦発言ではマスコミの誤報だと責任逃れをし、以後記者会見に応じないと宣言しておきながら、一夜にして態度を豹変させる無責任さである。普通なら、マスコミの誤報だと決めつけられたのだから、記者会見すると言われてもマスコミに対する謝罪がなければ、ボイコットがあたりまえの対応と思うのだが、ホイホイと記者会見に無批判に応じている。情けないかぎりです。テレビ局の意見欄に時々投稿しているが、これからはもっと多くの投稿をしたいと思っています。みなさんもよろしく。
    堺市長選では我町内会は「堺はひとつ」のポスターを張り出してくれるところが、どんどん増えています。23日の大仙公園での集会には町内会から多数の方が参加してくれました。親類、友人、知人に投票依頼しています。今のところ、100%現市長支持です。皆様のご支援よろしくお願いします。

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  4.  なんで大阪では「維新」が強いんやろうと不思議に思っていました。「維新」とか「船中八策」とか龍馬のパクリばっかりして苦々しく思っていました。
     長谷やんの話で、マスコミの先導(洗脳)を知らされ少し理解が出来ました。今の自民党と維新が手を組めばえらいことになります。えらいことになった後には、マスコミは統制され、人は無口にならざるえません。
     明日の堺市長選挙、他人事ではなく注目しています。(皆様のご活動に敬意をこめて)

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  5.  dyougojiさんのご奮闘に敬意、敬意。 草の根の広がりがすばらしいのですね。元気がもらえます。
     そして、マスコミへの投稿・・・も大切ですね。その気力を見習わなければと反省しています。
     

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  6.  バラやん。 大阪にはマスコミ発の「県民意識」に過剰に府民自身が囚われているという事情がありますが、それ以外の「未来に希望が見えない閉塞感が虚無的に政治を冷笑し過激に発言する個人をシャレ的に持ち上げる」傾向は全国的に共通している側面もあると思います。
     私は今、政治を語るときに経済の話に傾くのでなく、文化や哲学(生き様)を語る必要を感じています。

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