2013年6月14日金曜日

平城宮跡のオオヨシキリ

  平城宮跡の地中には国宝級の木簡等が埋まっている。
  それらは豊富な地下水によって守られている。
  慎重に時間をかけて発掘調査されることが良い。

  だが既報のとおり、奈良県知事や国交省はそんなことには全く興味がないようで、地下水の低下を招く舗装工事や樹木伐採工事を行って、ここを「テーマパーク」に作り替えたいようである。

  以前の記事で歴史的な建物の復元問題の複雑さを書いたが・・・・、
 例えば、平城宮の大極殿はご存じのとおり2階建てで復元されている。
 だから普通、「奈良の都はこんなんだったんだ。」と人々はイメージし理解しているはず。
 そしてご存知、平安宮の大極殿は平安神宮の外拝殿として1階建てで復元されている。
 ええ! 奈良時代から平安時代に移るなかで、大極殿は2階建てから1階建てになったの#$%&???
 ・・・・こんな問題もあるから、拙速なテーマパーク型復元は避けて歴史学者や考古学者の意見を十分聞いてもらいたいものだ。儲け(観光)のためや身贔屓からくる誇張・装飾のために学問を歪めてはならないと思う。
 
  また、平城宮跡は野鳥や小動物の貴重な生息地でもある。
 特に「燕のネグラ」は近畿で第2位の規模で、ここの「燕のネグラ入り」は圧巻である。
 8月の夕暮れ時に一見されることをお勧めする。感動する。
 その葦原の周囲がいま公園のように整備?され、樹木が切られ、丘が削られ、こじんまりと平坦な葦原に変わっていた。
 野鳥(燕)は案外逞しいから今年の夏もやってくるだろうが、生存し辛くなっていることは容易に想像がつく。
 炎天下、オオヨシキリが無謀な工事を告発するかのように仰々しく啼いていた。
 小さい頃、ラジオから「ギッチラコ、ギッチラコ」と田端義男の「親子舟歌」が良く流れていた。聞くともなく入ってきた「泣くなヨシキリ悲しじゃないか」という歌詞の記憶と重なって気分は沈む。
 野鳥の声のCDはヒーリングのコーナーに置かれたりしているが、どうもオオヨシキリだけは落ち着かない。

3 件のコメント:

  1.  今朝、平城宮跡を突っ切る電車の中で大極殿や朱雀門の話を大いにおしゃべりしていた女性が二人、奈良駅終点直前に「あっ、この電車奈良行やった。」、西大寺で橿原神宮前行と乗り間違えたらしい。と昼に奈良で落ち合った妻から聞いた。奈良には長閑な話題が良く似合う。

    返信削除
  2.  BSの「日本縦断こころ旅」で平城宮跡の北側を走っていた。もちろん自転車。火野正平が「綺麗に植木が刈り込まれているなあ。」と感心していた。おいおいおい、これって盆栽と違いまっせ。古代建築の柱の跡を『復元』して「建物を想像してね。」と表示したもの。こういうのは常識だと疑っていなかったが、古代史あたりに興味がなかったら案外知られていないことなのだなあ。

    返信削除
  3.  平城宮の大極殿が重層(2階建の形)で復元され、平安宮の大極殿が単層(1階建の形)で復元されているという事実を結び付けて考えたときに、現代社会で堂々と当たり前、既定の事実とされている事柄の不確かさをぞ~っとする思いで実感した。
     7月の選挙に向けて、庶民の増税で大企業に減税をすれば廻りまわって庶民の所得が増えるとか、基準を見直したから原発は安全だとか、世の中の閉塞感は憲法のせいだとか、各種規制を緩和すれば世の中は好転する等々の主張を聞くが、これらが堂々たる虚構でないとどうして言えるのだろうか。

    返信削除