2013年6月20日木曜日

どて焼で居酒屋ごっこ

  牛すじのどて焼を知ったのは、およそ50年前のことで、森之宮のガード下の大御所という居酒屋だった。
 ここは、ほんとうに何も食べずにお米のジュースだけで生きているような大先輩に連れられて通った店だ。
  現店主がランドセルを背負って階段下でウロチョロしていたころで、お酒は伏見の清酒大御所が魔法瓶に入れられていて、正1合の大きなコップにあふれるように注がれる店だった。半合という注文もできた。
 私の限界はその1杯半までで、2合も飲むとひっくり返っていた。
 そこに丸々1日は煮込んだような串刺しのどて焼がいつもあり、四角い鍋?の縁はほんとうに土手のように味噌が盛り上がっていた。名物だった。

 そんなことを思い出したのは、妻の親友夫婦がどて焼が好きだということで、お家でちょくちょく造ると妻が聞いてきたからで、私が記憶の中の大御所の味(少し甘い目)を口頭で伝授して、妻がわざわざ白味噌を買ってきて家にあった信州味噌と合せて造ってみたからである。
 親友夫婦、とりわけ夫君は食に関しては有名な慎重居士で、我が夫婦などは食の野蛮人と思われていたくらいだから、どて焼が好物とは意外だったが、考えてみればどて焼は現代の居酒屋では定番中の定番だから何の不思議もないのだろう。

 そして我が家というとせっかちで、妻が半日も煮込まずにお膳に出したが、まあまあ許せる程度に柔らかくなっていて、夕食前に自前の居酒屋の雰囲気を味わえた。(だから、出したのはほんの一部にして、多くはさらに煮込みを継続した。)
 このごろはコーナンやダイソーにいろんな居酒屋の提灯も売っているから、そのうちに買うことになるかも知れない。こんなものは理性的に買うものではなく、発作的な気分で買うものだろう。チョッとそんな気にさせる味だった。あほかいな!
 親友夫婦のおかげで、楽しい居酒屋ごっこができたと喜んでいる。
 妻は出来栄えに酔って、姉やお嫁さんのところに配って歩いた。
 味は良かったがまだ少し硬かった・・は陰の声。大きな声では言えない。

2 件のコメント:

  1.  森の宮のガード下の言葉を聞いて、私がよく行っていた、店の名前は忘れましたが(名前がなかったかも?)、鶴橋のガード下で豚足をあてに濁酒(どぶろく)をたくさんいただいたことを思い出しました。
     店のおばちゃんから「兄ちゃんはよう来てくれる。ここで濁酒飲む人はえろうなるで!」と見え透いたほめ言葉を言われたことを覚えています。
     高知に帰ってきて30年近くになりますが、豚足を見たことがありません。また大阪行ったときに嫁さんに内緒で鶴橋のガードに行ってみよう!!
     ちなみに、私と嫁さんの共通の趣味は「ランチ」で、フレンチやイタリアンなどにも柄に似合わず行っています。どの店も8割~9割が女性です。

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  2.  白雲台南のガード下には同じような屋台風の店が3~4軒ありますが、いつも1軒だけ直ぐに満席になりましたから終業即タクシーで直行が必要でした。
     コブクロや、ちょっと日本風にあっさり目(といっても相当個性的)のホンフェ等も有名でした。もちろんマッコリも。
     妻に教えたときには、まるでじゃりん子チエの世界や!と喜んでくれました。
     あちこちの商店街がシャッター通りになっている中、鶴橋周辺は元気で発展しつつあります。
     

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