若い頃、東京で、「やきとり」という暖簾の掛っているお店で「焼鳥」を注文したら「豚のもつ」だったので驚いたことがあるが、当時の東京の人々がそれを全く不思議がらないこともさらに驚きだった。(という状況は今も基本的には変わっていないようだ。)
そんな昔話を子供たちに話していたところ、子供たちが「ネギマ」というと「白ネギと鶏を串に刺した焼鳥のこと」と思っていることが判ってショックを受けた。(そう言えば、大手スーパーの総菜売り場にはそのように表示されている。だから全くの頓珍漢ではないが・・・ああ)
しかしこれはスーパーの責任ではなく、・・・つまりは親の責任である。
正当なネギマを正しく伝承してこなかった世代が若い世代をけなすのは天に唾するものである。猛省。
という自戒を込めて、孫のやってくる日に「かんとうだき」をつくり、「ネギマ」をつくって入れることにした。
こうなれば罪滅ぼしに隔世伝承に務めるのが我が夫婦の責任であろう。
ネギマのマは当然マグロのマだが、適当な素材がなかったので上等なお刺身用の柵を使用した。もちろん贅沢なものだから誰もが美味しいと見直してくれた。・・・で、所期の目的は達することができたようでホッとした。(しつこいようだがネギマのマの字はマグロのマの字だ!)
さらに、こうなりゃ昔飲み歩いた経験を無駄にせぬよう、ポツポツ思い出しながら「かんとうだき」の各種材料を増やしてみた。
え~っと、昔の「かんとうだき」で思い出すのは「さえずり(鯨の舌)」だったが、私の住んでいるこんな中途半端な田舎では手に入らない。で、ここは泣く泣く「コロ」にした。(ここで驚いたのは「コロ」が結構な高級食材になっていることだった。そして正直に言うとコロはサエズリよりも少ししつこい。私はその味が懐かしくて万々歳だったが、妻は「もひとつなあ」とダメを出した。)
次に、遠い記憶の「たこ梅」の「蛸」に挑戦した。柔らか煮のレシピには叩いて柔らかくするとか、重曹で煮るとかいろいろあったが、なんか邪道のような気がしたので、ここは、ただひたすら沸騰させない鍋でことことことこと煮込んだ。(柔らかく美味しくなったが、ただ見かけは少しモロモロになる。これも難しい。)
あとは日頃の基本形以外に何か楽しませてやれと思って「巾着ラーメン」を作ってみた。
近頃、奈良の餅飯殿で有名になった「巾着きつね」の盗作で、小型の「巾着ラーメン」・・薄揚げの中に生ラーメンを詰めたものである。(これがショックなことに、生ラーメンどおしが引っ付いて半分団子の感じになった。「いやいや巾着餅の美味しいヴァージョンや」と家族は私の顔を見て同情して慰めてくれたが、チャレンジャーとしては悔いの残る結果であった。皆様にはつるつるの細うどんでの挑戦をお勧めする。)
あとはホタテやギンナンや、日頃の我が家の「かんとうだき」では入れないようなものも足してみた。この辺になると、まあ、どうでもよい男の遊びである。
という爺ちゃんこだわりの「かんとうだき」だったが、孫が一番喜んだのは「りらっくまの蒲鉾」とコーンであった。とほほほほ。
我が家も時々デパ地下の出来合い焼き鳥を買って帰りますが焼き鳥専門店のカウターでもネギと鶏に「ネギマ」と札に書いてありますので(そうか、そうかと)疑い無く店員さんに注文して包んで貰います。そういえば「おでん」の「ネギマ」は「マグロ」でしたね。
返信削除私は「おでん」と言っていますが「関東煮」とどう違うのでしょうか。何かこんがらかってきました。
元お初天神の『常夜燈』は森繁久彌さんが『かんさいだき』と名付けました。しかし、普通の「かんとうだき」と「おでん」は基本的には同じだと私は思います。(違う違うと言う方も少なくありませんが) 昨日今日の橋下君と違って筋金入りの「近畿人」(あはは)の私は、それでも「かんとうだき」と言ってしまうのです。
返信削除昔、東京は本郷の旅館によく泊まりました。そんな折、赤門前の少し入ったところの「通に超有名」なおでん屋(吞喜)によく行きましたが、これは見事に真っ黒で醤油味でした。そんなときは「やっぱり違う」と心の中で叫んだものです。(口に出したら店内がシラケます)
正しくは「かんとだき」(大阪では、ですけど)関東、関西それぞれ、こだわりがあるようです。今は場所を変えていますがお初天神の中に「常夜燈」という店があり、あの名優の森繁さんが「この店の味は関東風の「おでん」でもなく、『かんとだき』でもない、『かんさいだき』や」と言ったという店ですが、ここの名物の一つが「さえずり」でした。昔、九州男児の塊のような友を長谷やんさんとで、ご案内しましたが黒帯の猛者がついに「さえずり」に箸を付けなかったことを思い出しました。
返信削除小学校の夏休みには毎日大浜の海に行っていましたが、その時海の家で食べるときは「カントダキ」1本でした。長じてお酒を飲むようになってからの私の発音は、「かんとだき」と「関東炊き」の中間であったと思います。このブログを書く時にも迷ったのですが、結局「かんとうだき」にしました。
返信削除気になりましたので「米朝落語」の「馬の田楽」を聴き直しました。マクラで東京風のおでんが一般的におでんになってしまった。関西では豆腐や蒟蒻に味噌をかけたのがおでんで東京は醤油のだしで食べて味噌を使わないのを「関東煮」(米朝さんはカントウダキと発音していますが・・)と言う。関東風にたいたおでんと言う意味だろう。昔、銀座の路地裏に関西風関東煮(ここではカントダキと発音)という店があった。もっと昔大阪の新世界に関東煮の看板があったがカタカナで「カント煮」と書いてあったので関西は新世界でも哲学風の店があるといって感心した人が居た。間違えればどこまでも間違うもので何もかも判らようになった。・・・とお笑いをトッテいます。米朝さんすら「カントウダキ」と「カントダキ」の使い方は曖昧なようですネ
返信削除スノウさん、参考になります。広辞苑では「かんとうだき」ですがまあそんなもんでしょう。私の好きな牧村史陽編大阪ことば事典では「カントダキ」です。日本の食生活全集・聞き書・大阪の食事の(大阪市内)には「関東炊き」と漢字があるだけですが(和泉海岸)に「関東炊き」(かんとだき)とルビがあります。しかしスノウさんの発掘していただいた新世界の「Kant炊き」には遠く及びません。論は決しました。
返信削除さて、法善寺横丁に『上(じょう)かん屋 へイ~~(繰返し記号二つ)と さからはず」という川柳の句碑がありますが、関東炊き等で一杯飲ませる店=「上燗屋」と言うのは私も耳にはしていない(文字で知っているだけの)惜しい大阪言葉です。
「そら、日本人初のワールドシリーズの最優秀選手やからな、国民栄誉賞、ええんちゃう」
返信削除「へえ へえ」
「なんでやねん、みんな野茂のおかげちゃうん」
「へえ へえ」
『上かん屋 へイ へイ へイと さからはず』
働いていたころ東京で「たぬき」(お揚げさんが乗っているお蕎麦のつもりで)と注文したら天かすが乗せられたおうどんが出てきたことを思い出しました。寒い冬に練炭の「かんてき」で「かんとだき」を煮込んだら美味しかったですね。そういえば今年の冬はつくらなかったことに気づきました。やっぱりいろんな食材を炊いたほうが美味しいので、出来上がってみるとかなりの量になるからかな?棒だらと小芋の煮つけも結構長い間食べてましたね。
返信削除で yukuriさん、娘さんは「ネギマ」と言ったら「ネギとマグロ」と答えられるでしょうか。ははははは
返信削除コメントありがとうございます。